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卒業生の声

50歳からのMBA 経験を活かして転職を実現

50歳からのMBA 経験を活かして転職を実現

湧川 智夫さんTomoo WAKUGAWA(57歳)

マサチューセッツ州立大学MBAプログラム第7期卒業生 (2015年4月入学)
専門商社企画部門

  • 通信
  • 50歳代
  • 海外
  • 商社

ご経歴、年齢はインタビュー時のものです。

転籍で風向きが変わったサラリーマン人生

-これまでのご経歴を教えてください

私は大学卒業後、大手電機メーカー(前々職)で四半世紀にわたって、世界の20の国と地域向けのビジネスに携わり、主に海外営業職・海外企画職として従事していました。その後、会社の一部門の事業譲渡に伴い、大手電子部品メーカー(前職)への転籍を余儀なくされました。

転籍先では主に国内の販売推進業務を担当することになり、この前職のときに「マサチューセッツ州立大学(UMass)MBAプログラム」に入学し、2年10カ月かけてMBAを取得しました。その後、紆余曲折を経て、MBAの取得を拠り所にして、「55歳の役職定年」が迫る目前で転職を実現。現在は専門商社の企画部門で仕事をしています。

―MBAの取得を目指したきっかけは。

前々職で海外向けのビジネスに携わっていたときは、入社前から自分が思い描いていたシナリオ通りの順風満帆なサラリーマン人生を送っていました。それが転籍して国内事業を担当するようになってからは、風向きが一変したのです。もちろん、それまでは未知だった国内事業も勉強にはなったのですが、やはり長年の間、培ってきた海外事業の知見・経験を活かすべく、海外との接点を持ちたいという思いが強くなり、そのためには、自ら変化を起こさなければいけないという危機感を持つようになりました。

そんなときに偶然、前々職の後輩がUMass MBAの1期生としてインタビューされた記事を日経新聞の広告欄で見つけました。そこで直接本人に声をかけて話を聞いたところ、包み隠すことなく率直に全てを語ってくれまして、「やってみようという思いがあるのであれば、お勧めします。」と私の背中を押してくれました。

私の素性や性格を多少なりとも理解してくれている後輩からの推薦は、大きな後押しになりました。また、その週末に確認の意味も含めてアビタスの説明会にも参加しましたが、イメージ通りのお話が聞けたので迷いはなかったです。

学びながら考える、というスタンス

―MBAをどのように活用しようと考えていましたか?

私は入学した時点で既に50歳に達しておりましたので、何をやるにせよ、最初で最後のチャンスと考えていました。そのため、MBAをどう活用するかは、学びながら考えるというスタンスでした。

自分のサラリーマン人生が残り少なくなる中、先が見えずに行き場を失いつつある状況に直面していたので、入学前に多くの検討時間を割きたくなかったですね。感覚的には、「MBAの学位・・・取るんだったら今でしょう!」という切迫感がありました。後から振り返ってみれば、具体的な活用イメージを描く前にUMass MBAの世界に身を投じたのは、単なる“現実逃避”だったのかもしれません。

仕事を続けながらMBAが取得できるのが最大の魅力

―UMassを選んだ理由は?

私は信頼できる後輩からの推薦がありUMassを選んだので、入学前段階で他校と詳細な比較を行ったわけではありません。ただ、日本に居住したまま仕事を辞めることなく、米国の大学院の講義を受けて学位の取得ができるというオンラインプログラムは、大きな決め手となりました。

また、UMass MBAプログラムが国際認証であるAACSB認証を受けているという点も大きかったです。しかるべき格付け機関による認証があるというのは、取得する学位が客観的に評価されているという意味で重要ですし、安心して選択することができました。

日本人の発想を超えた多様な考え方に触れる機会

―国内MBAではなく米国MBAを選んだのはなぜですか?

米国の大学は世界中から学生が集まるため、日本人の発想を超えた多様な考え方に触れる機会に恵まれているのが理由です。国内のMBAと比べると、この点においては間違いなく上だと考えています。

実際、毎週の課題の対応で「Discussion Board(議論専用の掲示板)」と称した掲示板に書き込むのですが、オンラインなのでリアルタイムで海外の学生が投稿した意見が確認できました。また、グループワークにおいては、現地の米国の学生と音声チャットやメールなどを通じて意見交換することもできました。自分とは異なる価値観に数多く触れられたことは、私にとって非常に良い経験だったと感じています。

―オンラインでの履修はどうでしたか?

私が若い頃に米国MBAの取得を目指すとしたら、会社を辞めるか休職するかして、物理的に米国に移動する必要がありました。つまり、下手をすれば収入源が断たれた上、更なる追加の出費が発生するという、非常に恐ろしい状況に陥ることになります。仕事を続けながら米国MBAが取得できるという意味で、オンラインの恩恵は大きいと感じました。

不安だったのは、オンラインで取得した学位が運転免許証におけるAT車限定の免許証のように、「オンライン課程のMBA」と捉えられるのではないかという点でしたが、これは心配の必要はありませんでした。オンラインで取得した学位も現地で通学した方が取得した学位と同等の効力を持ちますし、卒業証書にも「オンライン」という文言はありません。

負担を上回る価値

―MBA取得にかかる費用についてどう考えていましたか?

MBA取得を目指したのは、自己投資することによって、自分が変わるための“何らかのきっかけ”をつかみたかったからでした。この目的が達成できるのであれば、金額が多少膨らんだとしても許容するつもりでしたし、入学前に行った試算においては十分許容できる範囲でした。

もちろん小さい金額ではありませんが、米国の大学院で「修士」という学位を取得するわけですから、金額面でもある程度の負担をする覚悟は持つべきなのではないでしょうか。また、実際にそれを取得する過程および取得した後に得られたものには、その負担を上回る価値があったと考えています。

―基礎課程・上級課程の二段階カリキュラムをどう受け止めましたか?

基礎課程で共に学んだ者同士の絆があったからこそ、厳しい上級課程で横の連携を取りながら乗り越えることができました。また、基礎課程を同じタイミングで学べなかった他の入学期の方々とも、上級課程におけるグループワークを通じて縦の連携が生まれ、そこでも新しい絆ができて学びが深まったと思います。

日本人2人米国人2人と進めたビジネスシミュレーション

―UMassで印象に残っている科目とその理由を教えてください。

印象に残っているのは、2~7名のチームを編成して成果物を提出するグループワーク科目です。私が実際に履修したのは、ACM(Analysis of Customers and Markets:顧客と市場)とMOC(Managing Organization Changes:組織改革論)とSFI(Strategy Formulation and Implementation:戦略と立案と遂行)の3科目でした。

1つ目のACM(顧客と市場)では、具体的な商品・サービスを選んでターゲット市場を定めて、毎週の学習テーマに沿った個人課題とグループ課題をこなします。いずれも英文レポートですが、それらを活かしてWordで100ページ近いマーケティングプランを最終課題として提出するという科目です。負荷が重くグループメンバーの連携が大事な科目で、週2回以上はビデオ会議/音声会議で連携しながら進めていました。最も苦労した科目でしたが、新たな学びが多かったと感じています。

2つ目のMOC(組織改革論)は、企業内部で組織や従来の仕組みを変革することにフォーカスした科目です。毎週の学習テーマに基づいてHarvard Business Schoolが指定する文献や関連するケーススタディを読み、現状分析・課題抽出・対策立案の考察を行います。毎週持ち回りのプレゼンターが主導して5ページほどのドラフトを作成して、残りのメンバーが追記・修正を行い、最終的にプレゼンターが校正して提出するというイメージです。また、論文提出がテスト課題のMid-term ExamとFinal Examでは、別メンバーと組んでのグループワークがあり、限られた時間の中で、それまでに学んだテーマに基づき「自分ならこうする」という意見をぶつけ合いながらも、メンバー同士が連携し合って論文を書き上げる過程で多くの事が学べて、とっても有意義でした。

この科目は課題文献が良質で読み応えがあり、他の受講生がDiscussion Board(議論専用の掲示板)に投稿している内容を読むことで、視野や見聞を広げることができました。

最後に3つ目のSFI(戦略と立案と遂行)は、ビジネスシミュレーションゲームそのものです。経営幹部役をグループメンバーが持ち回りで担当して、さまざまな意思決定を行いながら他のグループと業績を毎週競い合います。そして、最終週に各グループが教授に対してグループの成果についてプレゼンテーションをするというカリキュラムでしたので、まさしくMBAの総まとめのような科目でした。

各グループの戦術に基づく施策の具体的な数値を入力すると業績のシミュレーション結果が算出されます。今まで学んできたテーマをビジネスの場で実践する疑似体験ができるわけですが、単に教科書的な模範解答通りに進めればいいわけではありません。他のグループがどんな戦術を打ってくるかによって、自分たちの打ち手の成否が変わるからです。相手の打ち手を予想しながら、自分たちが翌週に出す対応策をメンバーの間で意見を出し合って決めるのは、楽しいと同時に大きな学びにもなりました。 ちなみに、このときの私のグループは日本人2人・米国人2人という組み合わせで、時差があったので打ち合わせには調整が必要でした。このあたりもお互いに意見を出しながら決めていくのですが、結果的には日本側が譲歩して、日本時間の昼休み、現地時間の前日夜に打ち合わせを行うという形に固まっていきました。米国側メンバーの性格の一部を垣間見ることができましたし、とても貴重な体験ができたと思います。

グループワークで難しいのは、さまざまな価値観を持つメンバーと協力しながら進める必要があるところです。そのため、目標とするゴールの設定レベルが近い者同士で組んだり、あらかじめメンバー同士で拘束される時間帯を調整したり、といった工夫も大切でした。ただ、やはり一番のポイントになるのは、自分と異なるタイプ、異なる考え方、異なる進め方をするメンバーに対して、いかに寛容になれるのかというところなのかなと思います。

ものすごい人たちに出会えたことが大きな刺激

―他業種の方々からの学びはありましたか?

それまでの私は日常業務の延長線上の人としか接点がなかったので、UMass MBAの世界に足を踏み入れたことで初めて接点が生まれた他業種の人たちからの気づきや学びは、とても新鮮で有意義でした。そして、ここは特に強調しておきたいのですが、社会人でMBA取得を目指している志を持った人たちの中には、本当にものすごい人がいます。

例を挙げると、徹底的に先回りで予習して、毎週開講直後の時点で既に翌週の課題に着手できるような状態で進めている人。金曜日の夜に二次会まで接待をこなした後に、翌朝10時に期限が設定された基礎課程の課題を徹夜同然で仕上げた人もいました。こういったものすごい人たちに出会えたことは、私にとって大きな刺激になったと感じています。
(写真:卒業式のタイミングに合わせて渡米、お世話になったKim教授と食事する湧川さん=2018年5月、米国・ボストン)

英語は過度に心配する必要はない

―英語で苦労した面はありますか?

アカデミックな文章表現という観点でビジネス英語とは違ったルールがあり、成果物のレポート作成におけるライティングでは少し面食らったところがありました。ただ、それもルールを知ってしまえばすぐに解決できたので、英語という面ではほとんど苦労しなかったというのが正直なところです。

ちなみに英語での講義に不安を感じている方もいらっしゃるかもしれませんが、過度に心配する必要はないかもしれません。英語での講義といっても、手元に何もないまま教授の話を聞くわけではなく、講義内容を教授がまとめた資料が事前に配布されますので、予習した上で、その内容を教授からヒアリングするようなスタイルです。ネイティブの英語を完璧に聞き取れるようなリスニング力よりも、英語の4技能、インプット系のリーディングとリスニング、アウトプット系のライティングとスピーキングの全体的なバランスが重要だと思います。

個人的には、UMass MBAのプログラムのおかげで「ライティング」のスキルが上達したことを実感しました。
(写真:Dean(学部長)との記念写真で笑顔の湧川さん=2018年5月、米国・ボストン)

現地の卒業式で達成感

―一番の思い出は?

タイミング良く、前職で10日間の特別有給休暇が付与される年度だった事も手伝って、現地の卒業式であるHooding Ceremony(UMass MBAの卒業式)とCommencement(UMassの学士、修士、博士全体の卒業式)の両方に参加することができました。これは本当に一生の思い出なので、今でも鮮明に覚えています。Commencement会場のアリーナに入場後、エルガーの『威風堂々』を聴きながら行進したのですが、老骨にムチを打ちながら課題に対応したことなど、様々な大変な思いをしながらも修羅場を乗り越えてきた記憶がよみがえってきて、「ついにここまで来たんだぁ!」という万感の思いがこみ上げて本当に涙が出そうになりました。

この卒業式は、自分にとって良い意味での区切りにもなったと感じています。オンラインで日本から学ぶという形でしたが、現地に行って教授と触れ合うこともできましたし、卒業式にも参加できましたので、本当に達成感でいっぱいでした。
(写真:卒業式での湧川さん=2018年5月、米国・ボストン)

人生そのもの、人生観も変わった

―卒業後、MBAはどのように役に立っていると感じていますか?

UMass MBAの世界に踏み込んだことによって、私の人生観だけでなく、人生そのものが変わったと思っています。具体的には、人との交際範囲が大きく広がりました。もともと職場関係とその延長線上の限られた範囲だけだったのが、自然な形でいろいろな方々と幅広く接することができるようになりました。

これは一つの例えですが、90度しかなかった視野角が、150度、180度と広がって、見える景色が随分変わったと感じています。だからこそこの年齢で転職してみようかという気持ちにもなれましたし、実際にそれを実現することができました。今の仕事にたどり着いた自分自身の姿は、UMass MBAと巡り合わなければ絶対にあり得なかったことです。
(写真:修了を証明する湧川さんの学位記)

―同期生とのコミュニケーションは続いていますか?

はい、続いています。同期生に限らず、入学期の異なる方々との縦のつながりで複数の分科会が立ち上がり、四半期から半年に一度ぐらいの頻度で集まっていました。具体的にはヘルスケアやマーケティング、ヒューマン・キャピタル・リソースなどの分科会に、ほぼ毎回出席していました。あとはUMassに限らず、他の大学のMBAの方との勉強会や各種懇親会などもあり、これにも積極的に参加していましたね。

会計、財務は業務に直結。ケーススタディは課題解決の引き出しに

―MBAで学んだことは実務で活きていますか?

実際に履修した科目の中ですと、特にアカウンティング(会計)やファイナンス(財務)系の科目で、現在の業務の中で直接使えることを数多く学びました。また、MOC(組織改革論)におけるケーススタディは身近な職場でも近いことが起こっていると感じることがあり、課題解決につながるような提案をする上で大いに役立つと考えています。あとはSFI(戦略と立案と遂行)でのシミュレーションを通じて、ビジネスの全体像をより鳥瞰できるようになりました。

MBAの学習をしてきた中で、上級課程だけでもおそらく100近くのケーススタディに触れてきたと思います。もちろんケーススタディをそっくりそのまま業務に当てはめられるわけではありませんが、引き出しが格段に増えたのは間違いありません。「これはあのケーススタディに近いな」と意識することもあれば、無意識のうちに頭の中で紐付けしていることもあると思いますが、学びはいかようにも活かせるものだと感じています。

予想外のサクセスストーリー

―転職においてMBA取得はプラスになりましたか?

正直に申し上げますと、UMass入学前・在学中・卒業直後のいずれの時間軸においても、「転職」は全く考えていませんでした。MBA取得をきっかけに前職において他部門に異動してキャリアアップができればいいかなぁと考えていたのですが社内には、その芽はありませんでした。

このとき、まさに「55歳の役職定年」が翌年に迫り来る恐怖に直面しており、苦労してMBAを取得したことを考えると、なぜか根拠の無い自信が湧いてきました。これが大きな後押しになって、清水の舞台から飛び降りる思いで失業覚悟の54歳での転職を決断。ついに、それを実現する事ができました。

シニアの転職活動には厳しいものがあり、序盤戦では苦戦を強いられました。年収は二の次で、そこには優先順位を置いていませんでした。それよりも自分がやりたい仕事、自分の経験値が活かせる仕事に就きたいという思いが強かったので、少々の年収ダウンであれば普通に受け入れていたと思います。ただ結果は真逆だったので、そういう意味でも、この転職は自分にとっては予想外のサクセスストーリーとなりました。

Try new things, even if you’re old.

―これからMBAを目指される方へメッセージをお願いします。

「人生100年時代」において「リスキリング」の必要性が叫ばれる中、MBAの履修期間は、わずか2~3年という短い期間にすぎません。大変だとは思いますが、仮でもいいので「自分は何のためにMBAの学位取得を目指すのか?」というしっかりした目標を設定して取り組んで頂ければと思います。そして、それが皆さん個人個人の令和のサクセスストーリーの実現に向かう一つのきっかけになれば幸いです。設定した目標は、状況の変化や時間の経過とともに変わってもいいと思います。少しでもやってみようという気持ちがあるのであれば、さまざまな角度からご検討されてみてはいかがでしょうか。

特に「自分は少し年を取ってしまったかな」という思いから、年齢そのものがボトルネックになると懸念をされている方には、次のメッセージを送りたいと思います。

“Try new things, even if you’re old.”

2019年5月のBabson Collegeの卒業式におけるトヨタの社長兼CEOの豊田章男さんのスピーチの中にあるメッセージですが、「何か新しいことにチャレンジするのに、年齢なんて関係ない」と私は意訳しました。実際に私が転職活動の山場を迎えていた際にYouTubeで聞いたこのメッセージには、とても勇気づけられました。

世の中に「年齢の壁」は確かに存在します。しかし、これは乗り越えられるものだと私は考えています。ぜひ新しいことに挑戦してみてください。


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