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内部監査部門に異動したものの、専門的な領域や国際基準への準拠において、「わからない」という壁に突き当たる人は少なくありません。
本イベントでは、カード会社で30年以上にわたり多様な業務を経験し、2021年から内部監査部門に所属する芦澤聡子氏が登壇しました。
自身のキャリアを振り返りながら、苦手意識のあった会計・IT分野を克服し、CIA(公認内部監査人)資格を取得するまでの道のりを紹介。 実務に直結する学習方法や、CIAの学習によって得られた「判断の物差し」、資格取得によって広がった監査の視座について、具体的な経験を交えながら語っていただきました。
芦澤 聡子(あしざわ そうこ)氏
カード会社 内部監査部門
営業部門を経て、マーケティング部門、財界への出向、コーポレート部門などを経験し、2021年より内部監査部門に所属。
主に国内の事業部監査・関係会社監査を担当する。内部監査業務においてIPPFへの準拠性が求められるようになったことをきっかけに、体系的な知識の習得を目指してCIA(公認内部監査人)を取得。
CIAの学習を通じ、それまでの内部監査業務を体系的に整理できるようになり、監査の各フェーズにおける判断基準も明確になったという。
また、資格学習を通じて出会った仲間とのつながりも、大きな財産となっている。
芦澤氏: 私は新卒で入社してから現在まで同じカード会社に勤めていますが、その中でBtoC営業、マーケティング、財界への出向、広報、CSR活動、BtoB営業、総務など、本当に多くの部門を経験してきました。
新しい部署に異動するたびに、当然ながら「わからないこと」に直面します。 ただ、その都度、まずはその業務を好きになり、好奇心を持って取り組むことで、自分のできることや専門性を少しずつ広げてきました。
こうした多様な経験は、現在の内部監査業務において非常に大きな強みになっています。
例えば、内部監査部門に異動する直前に在籍していた総務部門では、会社全体の業務プロセスや経費の流れ、各部門の業務分掌などを俯瞰して見る機会がありました。
そのため、「この部門にはどのような特徴があるのか」「どこにリスクが潜みやすいのか」といった感覚を、実務を通じて養うことができました。
また、自分自身がさまざまな部門で働いてきたからこそ、被監査部門の業務内容だけでなく、そこで働く人たちの心理や立場も想像しながら監査に臨むことができます。 振り返ってみると、これまで経験してきたすべての仕事が、現在の内部監査業務に生きていると感じています。
芦澤氏: 内部監査部門に異動して4年ほど経ち、実務の専門性が高まってきたと感じる一方で、自分の中に新たな「わからないこと」への苦手意識が芽生えていました。
特に、これまで営業系の監査を担当することが多かったため、システムや情報セキュリティ、会計、財務といったコーポレート領域の監査に対して、どこか苦手意識を持っていたのです。
また、実務の中でIPPF(専門職的実施の国際フレームワーク)への準拠性が求められるようになり、内部監査について体系的に学ぶことが必要だと感じるようになりました。
実は以前からCIAという資格の存在は知っていたのですが、「英語の試験だから自分には難しい」と思い込んでいて、最初から諦めていました。
ところが、日本語で受験できることを知り、アビタスの無料ガイダンスを受講したことで、「これなら自分にも挑戦できるかもしれない」と考えるようになりました。
自分の中に残っていた「わからないことによる気持ち悪さ」を解消したい。 そう思ったことが、CIAの学習を始めた大きなきっかけです。
芦澤氏: 合格までに必要とされる300~500時間ほどの学習時間を確保するために、まず生活習慣を大きく見直しました。
無制限のWi-Fi環境を整え、スターバックスやオフィスのラウンジ、ランチタイムなど、少しでも時間があれば、どこでもeラーニングを受講できる環境を作りました。
さらに、趣味だった山登りも半年間完全に休み、休日の時間を勉強に充てました。 直前期には、平日は毎日5時間、休日は10時間ほど、ひたすら机に向かっていました。
具体的な勉強法として特徴的だったのが、テキストの内容をすべてExcelにまとめ、自分専用のデータベースを作ったことです。
キーワードで検索やソートができるようにしておくことで、問題演習で間違えた際、「これはどのチャプターの、どの論点に関連する問題なのか」をすぐに確認し、知識を上書きできるようにしていました。
また、アビタスのMC問題アプリも活用し、隙間時間があれば繰り返し問題を解きました。 最終的にはトータルで5,000問以上を解き、1問あたり平均27秒ほどで解答できるレベルまで、問題に対する反応速度を高めました。
eラーニングの講義動画についても2倍速で繰り返し聞き、常にCIAの知識に触れることで、頭の中に定着させることを意識していました。
芦澤氏: 十分に可能だと思います。
私自身、学習を始める前は、財務会計と管理会計の違いすら明確には説明できない状態でした。 特に会計の講義に入った当初は、仕訳の借方・貸方がどちらを指すのかも分からず、最初の段階でかなり混乱しました。
そこで、まず無料で学べる簿記3級レベルの基礎知識を自主的に学習しました。 すると、それまで難しく感じていた内容が、霧が晴れるように理解できるようになりました。
CIA試験で求められるのは、会計士のような深い専門知識ではなく、ビジネスがどのような仕組みで成り立っているのかを理解するためのエッセンスだと感じています。
ITや情報セキュリティについても、ITパスポート試験で扱われるような基礎的な内容が含まれています。
一見、自分とは縁遠い分野に見えても、基礎から一つずつ紐解いていけば、これまでの実務経験と結びつき、理解が深まっていきます。 ですから、最初に知識が乏しいことを理由に、CIAへの挑戦を諦める必要はないと思います。
芦澤氏: 私は旧シラバスの学習からスタートし、その後、移行期に新シラバスでの受験も経験しました。
新シラバスを経験して感じたのは、より実務に即した内容に強化され、各パートの関連性も非常に強くなったということです。
そのため、Part1、Part2、Part3を完全に分断して勉強するのではなく、CIAで学ぶ内容全体を一つの体系として捉えることが重要だと思います。
また、CIA試験は単純な暗記だけでは対応できません。 本試験では、過去に解いた問題と全く同じ問題が出題されるわけではなく、具体的な状況の中でどのように判断するかを問う、シチュエーション型の問題が多く出題されます。
対策として有効だったのは、問題を解くたびに「この設問は、どのチャプターの、どの論点について聞いているのか」を頭の中で整理することです。
さらに、「IIA(内部監査人協会)は、なぜこの基準を設けているのか」という背景や本質まで理解することを意識しました。
単に正解を覚えるのではなく、自分の中に判断のための「物差し」を作ることができれば、初めて見る応用問題やシチュエーション問題にも対応しやすくなると思います。
芦澤氏: 最も大きな変化は、内部監査の各フェーズにおける分析や判断の迷いが少なくなったことです。
予備調査、リスク評価、監査手続き、監査調書の作成、そして改善計画のフォローアップに至るまで、自分の中に明確な「物差し」ができました。 そのため、以前よりも自信を持って業務を進められるようになりました。
また、CIAの知識が部門内の共通言語になったことも大きいです。 監査手続きの妥当性や、指摘事項の真因分析などについて議論する際にも、共通の考え方をベースに会話ができるため、コミュニケーションが非常にスムーズになりました。 業務の効率化という面でもメリットを感じています。
さらに、被監査部門や関係会社からの反応にも変化を感じています。
名刺にCIA(公認内部監査人)と記載されることで、内部監査の専門性に対する信頼感が増し、監査現場でのコミュニケーションが、以前より円滑になったと感じる場面があります。
CIAで学ぶフレームワークは、特定の業種や企業だけに当てはまるものではなく、業界や組織の形態を問わず活用できる普遍的なものです。
この体系的な知識と判断の軸を身につけることができたことは、現在の内部監査業務だけでなく、今後のキャリアにおいても大きな財産になると感じています。
BtoC営業、マーケティング、広報、CSR、BtoB営業、総務など、多種多様なキャリアを歩んできた芦澤氏。 そのキャリアを支えてきたのは、「わからないこと」をそのままにせず、まず興味を持ち、その仕事を好きになることで理解を深めていく姿勢でした。
内部監査部門への異動後も、会計やIT、国際的な内部監査のフレームワークという新たな「わからない」に直面しましたが、CIAの学習を通じて一つずつ克服。 その結果、単に知識が増えただけではなく、監査の各フェーズにおける判断の軸となる「物差し」を手に入れたというお話が印象的でした。
内部監査では、自分が経験したことのない領域や専門分野に向き合う機会も少なくありません。 そうした「わからない」を避けるのではなく、学びの入り口として捉え、体系的な知識とこれまでの実務経験を結びつけていく。 芦澤氏の経験は、これから内部監査の専門性を高めたい方にとって、大きなヒントになるのではないでしょうか。
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