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ビジネス系の資格や学位の中で比較されることが多いUSCPAとMBAですが、「どちらを取った方がキャリアップにつながるのか」「年収アップが期待できるのはどちらか」と疑問を持たれている方もいると思います。特にUSCPAに合格された方やこれから試験に挑戦される方の中には、MBAにも興味があるという方も多いのではないでしょうか。今回はそのような皆さんの疑問点にお答えしたいと思います。
改めまして、公認会計士の近衛(このえ)と申します。初めての方はプロフィール、過去の記事について、ぜひこちらをご覧ください。
「監査法人 - 海外勤務編 “海外派遣プログラムでグローバルに活躍してみませんか?」
「監査法人 - 海外勤務編② “志向に合った駐在国を選ぶには!?」
「監査法人 - ワークライフバランス」
「監査法人 – IPO支援業務」
「監査法人-M&Aにおける会計アドバイザリー業務」
「監査法人―転職活動編」
「公認会計士とUSCPAを比較!」
私は日本の公認会計士試験に合格後、2014年から2020年まで日本の監査法人で働いておりました。在籍時には主に総合商社や外資系企業の監査に従事しており、2年間のロンドン駐在も経験することができました。その後1年間のMBA留学をしている間に、USCPAの取得を決意し、在学中にUSCPA取得に向けた学習と試験対策を始めました。
そして卒業後の2022年にカリフォルニアのシリコンバレーにある監査法人に現地就職し、コンサルタントとして会計アドバイザリー業務を行っています。日本ではCPA×MBAの2つを取得している人は珍しいと思いますので、それぞれどのように仕事に活かせるのか実体験に基づいてお伝えしたいと思い、記事にさせて頂くことにしました。
今回の前提として、これからUSCPAやMBAプログラムにチャレンジしたいと考えている方に向けたメッセージとして読んで頂くことを想定しています。また、私の過去の経験や個人的な意見を含みますので、具体的なキャリア相談や資格試験対策につきましては、アビタスのキャリアアドバイザーにご相談して頂くようお願い致します。
多くの方はMBAを経営の基礎知識を身につける場所と思っていらっしゃると思いますが、MBAの本質はビジネスリーダーの養成所だと考えます。授業ではファイナンスやマーケティングといったビジネス分野について学びますが、それをビジネスケースにどのように応用できるのかをグループワークなどを通してアウトプットしていきます。
ほぼ全てのクラスでチーム単位でのプロジェクトを行うため、クラスメイトと共にデータをリサーチしたり、ディスカッションを行ってアイディアを出し、発表用のアウトプットにまとめていきます。その過程では、プロジェクトの方針が決まらなかったり、一人一人の意見が食い違ったり、進め方に納得がいかないメンバーがいるというようなイベントも起こります。クラスメイトと思いもよらない衝突が起きることもありますので、それらを乗り越えて一つの成果物にまとめ上げるという日々の連続になります。
このように、実際のビジネス場面でも起こりそうなケースの疑似体験を通して、少しづつプロジェクトを進める力が養われていくのがMBAの良いところだと思います。そして卒業するころには、マネージャーとして必要なマインドセットやソフトスキルも身についていきますので、MBAを卒業すると、マネージャー以上のチームリーダーのポジションに転職する方が多いと思います。
以上のように、経営に必要な知識を授業でインプットできるだけでなく、ビジネスのリーダーになるためのトレーニングを積むことができるのがMBAの良さだと言えます。
また、MBAの取得が転機となって、それまでのキャリアとは異なる分野にキャリアチェンジしていく方もたくさんいらっしゃいます。これは、MBAを通して新しい発見があることやさまざまな分野にネットワークができること、キャリアに対する考え方が変わること、起業したくなるなど、さまざまな可能性が広がる場でもあるからです。
私はアメリカに留学してMBAを取得しました。これは、長期的にグローバルに働いてアカウンティング・ファイナンスのプロとして起業経営に関与したいと思ったからでした。そして、自分が目標としたい海外の経営者の経歴を何人か調べたときに、キャリアの早い段階でMBAを取得していました。
また、FORTUNE 500のCFOのうち、約50%がMBAを取得しているというデータもありました。このように、将来のキャリアプランを考えた場合、できるだけ早いうちに海外MBAでトレーニングを積みたいと思い、ロサンゼルスにあるMBAに留学することにしました。
一方でUSCPAは、アカウンティングのプロフェッショナルとしてアメリカの会計における必要な基本知識を学ぶための試験です。
資格を取得するとプロフェッショナルファームであれば、Big4の会計プロフェッショナルとして働くことができ、事業会社であれば財務経理のポジションで活躍できるでしょう。もしご自身の志向や好みを考えた時に、アカウンティングの専門性を活かした仕事に興味がある場合には、最適な資格だと思います。 ただ、専門スキルがあることと、そのフィールドでより上位のポジションにステップアップできることは別だと考えています。
例えば事業会社を想定した場合、アカウンティング部門の中で最上位のポジションは経理部長やその担当役員、会社によってはCFOになると思います。これらのポジションでは、専門スキルの他にもマネジメントやリーダーシップのようなビジネスリーダーとしての能力が必要になると思いますので、USCPAに加えてMBAにも挑戦し、リーダーになるためのトレーニングを積むというのは非常に有効だと言えるのではないでしょうか。
個人的な意見では、日系企業の多くは転職時にMBAをそれほど重要視していないと感じています。
一方で、多くの外資系企業では、いわゆるMBA採用という転職枠があり、将来の幹部候補生として早期プロモーションが見込まれるプログラムが用意されている会社もあるようです。このような企業では、毎年インターンシップやフルタイムの採用活動が行われていますので、キャリアアップに活かせるでしょう。特にUSCPAに合格していれば、これらのなかでもアカウンティングやファイナンス部門での採用に挑戦することができるでしょう。
専門分野におけるマネジメント層への早期ステップアップをして活躍するために、「MBA×USCPA」のダブル取得にチャレンジしてみては如何でしょうか。
いかがでしたでしょうか。今回は「USCPA×MBA‐ダブル取得のメリットとは?」についてご紹介しました。 Twitterでは会計士のキャリアや海外での働き方に関する情報もリアルタイムで発信していますので、ぜひご覧下さい! 皆さんのキャリアを応援しています。
近衛祐哉
公認会計士、MBA(University of Southern California)
(このえ・ゆうや)2008年筑波大学卒業。銀行で勤務した後、公認会計士試験合格。監査法人にて総合商社や外資系企業の監査に従事した後、ロンドン駐在。帰任後はロサンゼルスにMBA留学し、卒業後はシリコンバレーにある監査法人にてテクノロジー企業のIPO/SPACやM&Aにおける会計アドバイザリー、財務デューデリジェンスなどに従事している。
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