経営は企業そのもの、マーケティングは自社の商品やサービスに対する取り組みです。そのため、両者の概念は大きく異なります。

しかし、経営とマーケティングの意味を混同してしまう人も少なくありません。

本記事では、経営とマーケティングの違いを分かりやすく解説します。また、経営とマーケティングの学問・戦略・企画における定義にも触れていきますので、ぜひ参考にしてください。

目次
経営とは
マーケティングとは
経営とマーケティングの違い
経営とマーケティングの違いを知ろう

経営という言葉と意味は、人によってさまざまな認識がなされています。

一般的には、経営者が確保した経営資源によって会社を存続および発展させることを指します。

経営者・経営資源・会社の具体的な意味を見ていきましょう。

言葉	意味
経営者	・会社の最高責任者 ・最終的な意思決定を遂行する ・経営方針および経営計画の策定を行う
経営資源	・会社を経営、存続、発展するために必要な資源 ・具体的にはヒト、モノ、カネ、情報の4つ
会社	・株式会社、合同会社、合資会社、合名会社の4つの種類に分かれる ・会社法により設立した組織

経営とは、会社が利益を生み出すことで継続的な組織の発展を意味する言葉です。

組織を発展させるためには、会社内部の人間の活動だけでなく、外部の関係者との良好な関係性の構築が求められます。

マーケティングとは、顧客のニーズを把握し、満たすために企業が取り組む活動の総称です。

具体的には以下のような活動がマーケティングに含まれます。

• 顧客ニーズを把握するための市場調査および分析を行う
• 分析結果に基づき、商品・サービスを企画し、開発する
• 商品・サービスを認知してもらうための広告宣伝活動およびプロモーションを行う

マーケティングの意味をより簡単に表現すると、商品・サービスを効率的に販売するための仕組みを構築することを意味します。

ここからは、以下の観点から経営とマーケティングの違いを詳しく見ていきましょう。

• 経営学とマーケティング学
• 経営戦略とマーケティング戦略
• 経営企画とマーケティング企画

まず経営学とマーケティング学の違いです。

比較対象	概要
経営学	会社法などの法律、経営管理、経営戦略など
マーケティング学	マーケティング理論、製品ポートフォリオ管理など

それぞれの違いをより詳しく見ていきましょう。

経営学では以下のような内容を学習します。

• 会社法などの法律
• 経営管理の手法
• 経営史
• 経営哲学
• 経営戦略
• 経済学
• 経営学とマーケティング学
• 財務会計
• 簿記
• マーケティング

経営学は、会社法や経営管理など企業の経営活動を運営していくために必要な幅広い分野の内容が含まれる点が特徴です。

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マーケティング学では以下のような内容を学習します。

• マーケティング理論
• 製品ポートフォリオ管理
• 資源の配分方法
• 消費者行動論
• 分析手法
• 流通管理

マーケティング学では、商品を効率的に販売するための分析手法や流通管理、消費者とのコミュニケーションの取り方などについて学習します。

経営学と比較すると、マーケティング学はマーケティングに関する学問を専門的に学習する点が特徴です。

次に、経営戦略とマーケティング戦略の違いは以下の通りです。

比較対象	概要
経営戦略	・企業の目標に向けた中長期的な施策を行う ・資金調達や人材確保などの方法を策定する
マーケティング戦略	・企業の商品を効率的に売り出すために策定する

それぞれ詳しく見ていきましょう。

経営戦略とは企業が提示した目標達成に向けて、経営資源の配分方法を策定することを意味します。

具体的には、中長期的な視点で企業の発展を見据え、資金調達や人材確保などに関する方向性を決定することです。

経営戦略は主に以下の3つの種類に分けられます。

戦略の種類	概要
全社戦略	・企業の進むべき方向性を提示する ・事業戦略および機能戦略は全社戦略を基に検討される ・企業によっては事業戦略を基に全社戦略を策定するケースもある
事業戦略	・事業単位で戦略を立てる ・事業の長所短所を明確にし、商品、サービスを差別化できる提供方法を検討する ・提供方法は市場調査や競合分析を基に策定する
機能戦略	・部門単位で戦略を立てる ・営業戦略、人材戦略、財務戦略なども含まれる ・マーケティング戦略も機能戦略の1つ

マーケティング戦略とは、メインターゲットの明確化およびメインターゲットに対する価値提供の方法を策定することを意味します。

顧客に対し商品の価値提供を行い、競合との差別化を図るために必要な戦略です。

マーケティング戦略を策定するためは、以下のような行動に取り組むとよいでしょう。

行動	内容
内部環境分析および外部環境分析	・会社内部、顧客、市場、競合をあらゆる角度から分析する ・フレームワークを利用する（SWOT分析、3C分析、PEST分析など）
セグメンテーション	・市場を細分化し、ターゲットの選定およびポジションの明確化を図る
ターゲティング	・メインターゲットの属性を策定する（年齢、性別、趣味、職業、勤めている会社の規模など）
ポジショニング	・市場における自社の位置を把握する
バリュープロポジションの設定	・市場価値の提供方法を策定する ・マーケティングミックス（4P）を策定する

経営もマーケティングにおいても、必要に応じて企画を立てます。ここでは、経営企画とマーケティング企画の違いを見ていきましょう。

比較対象	内容
経営企画	事業全体の方向性を策定する
マーケティング企画	商品を売り出すために発生する費用や、目指す成果を検討する

経営企画とは、事業全体の方向性を策定する企画を意味します。企業が目標に向けて取り組まなければならない内容が企画として策定されます。

具体例を挙げると、事業転換、新規事業への参入、M＆Aなどです。場合によっては、マーケティング企画は経営企画の影響を受ける可能性も考えられます。

マーケティング企画という単語には正式な定義はありません。一般的に、マーケティングに関する活動におけるアプローチ施策を意味するケースが多いです。

具体的な企画内容としては、商品・サービスを売り出すために発生する費用や目指すべき成果などが挙げられます。

企画の大枠を十分に議論し、KPIを設定します。KPIとは重要業績評価指標のことで、目標を達成するまでのプロセスの達成度合いの計測および評価を示す指標です。

達成度合いを計測できる体制を構築し、計画的に実行することが求められます。

本記事では、経営とマーケティングの違いを解説しました。経営とマーケティングの意味は混同しやすいものの、概念は大きく異なり、深い繋がりがあります。

経営は企業が継続的に事業を発展させ、利益を得るために必要な全社的な取り組みです。一方、マーケティングは商品やサービスの販売方法や顧客への価値提供を模索する取り組みです。

経営は組織、マーケティングは特定の商品・サービスに対する概念といえます。両者の違いを理解し、適切な施策を策定することが大切です。

経営とマーケティングはどちらも組織を継続的に運営するために必要な概念です。経営に携わる場合、経営とマーケティングを理解することが重要といえます。

経営とマーケティングの両者を体系的に学べる手段として、MBAプログラムがあります。

MBAとは、経営学修士のことです。資格ではなく学位であり、大学院などが提供しているMBAプログラムを修了しなければなりません。MBAプログラムでは、経営学と同時にマーケティングについても深く学習できます。

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