CFAは、金融プロフェッショナルの証として注目されている資格の1つです。

日本国内におけるCFAの資格取得者はまだ多くないため、CFAの資格取得は金融業界でキャリアを構築していきたい人にとって大きなアドバンテージとなるでしょう。

本記事では、CFAの概要や取得のメリットを解説します。さらに、CFAと比較されることの多いMBAについても取り上げ、両者の違いを見ていきましょう。

目次
CFAとは
MBAとは
CFAとMBAの違い
MBAで学んだ内容はCFAでも役立つ？
CFAとMBAの違いやメリットを知って受験を検討しよう

CFAとは、「Chartered Financial Analyst」の略語で、金融業界で圧倒的なステータスを誇るアメリカの証券アナリスト資格です。

グローバルに事業を展開する金融機関には、CFA資格の保有者が多数在籍しています。特に、資産運用やアナリスト部門で活躍するためには必須ともいえる資格です。日本やアメリカの公認会計士資格取得者など、他分野の専門職がさらなるスキルアップを目指して取得するケースが多くあります。

CFAの資格取得者は、銀行・証券・アセットマネジメント・監査法人・生命保険・損害保険など、幅広い金融機関で活躍しています。

近年、金融業界ではフィンテック（FinTech）やビッグデータ、ブロックチェーンなど、今までになかった概念が次々に登場しています。CFAの試験は、こうした業界の変化に対応するため、毎年アップデートされている点が特徴です。

CFAは難易度の高い資格であり、その取得は投資や金融に関する高度な専門性を有していることの証明になります。

他にも、具体的に以下のようなメリットがあります。

• 金融や投資分野での最新の知識やスキルが習得できる
• 金融業界で高い評価を受けやすい
• 希少価値の高い資格である

それぞれの詳細を解説します。

CFAの資格取得に向けた勉強を通じて、投資分野における最新知識やスキルが習得できます。

CFAプログラムのカリキュラムは、投資のプロフェッショナルが現場で活かせる実践的な内容をもとに構成されており、内容が毎年更新されるため、試験勉強が無駄になることがありません。

特に、AIをはじめとするデジタル技術の進展は、金融業界にも大きな影響を与えています。こうした環境の変化を迅速に試験内容に反映させている点が、他の資格試験との大きな違いといえるでしょう。

CFAは金融業界において取得価値の高い資格であり、世界的な評価や認知度が高いことから「グローバル・パスポート」と呼ばれています。

海外の金融機関では、採用時にCFAの資格保有を条件としている企業もあります。

日本国内の資格取得者はまだ少ない状況ですが、機関投資家や投資銀行などで働く人にとってはメジャーな資格で、全世界では多くの資格取得者がいます。

金融業界でキャリアを積んでいきたい人にとっては魅力的な資格でしょう。

CFAは、日本において希少価値の高い資格です。

日本のCFA資格保有者は約1,800人とされています。よく比較される資格である証券アナリストと比較すると、日本証券アナリスト協会の会員数29,569人（2025年2月現在）と比較すると、圧倒的に少ないことが分かります。

試験はレベル1〜3の3区分に分かれており、全て英語で行われます。レベル3の試験ではエッセイによる解答が求められるため、英語が堪能であることは受験にあたっての前提条件です。

難易度が高く希少性が高い資格であるからこそ、金融業界で高い評価を得ています。

参照：公益社団法人日本証券アナリスト協会「会員名簿」

MBAとは、「Master of Business Administration」の略語で、日本では「経営学修士」と呼ばれます。MBAプログラムの目的は、経営者や経営をサポートできる実務家を育成することです。

MBAを取得するためには、MBAプログラムを提供する国内外の大学院で、ディスカッションやグループワークなどのインタラクティブな手法を用いてビジネスに必要なスキルを習得する必要があります。

一般的な大学院の研究とは異なり、ビジネスの場で活かせる実践的な学びを提供することにウェイトが置かれている点が特徴です。

世界各国にMBAの教育機関が存在し、国際的な第三者機関が教育プログラムの評価および認証を行っています。

関連記事：Abitus UMass MBA「MBAを取得するメリットとは？ 取得の難易度や他の経営学についての資格も紹介」

MBAを取得するには、多くの時間とお金が必要です。

海外の大学院へ留学すると、多くの場合期間は1〜2年となり、費用も高額です。キャリアを中断して取得に専念する場合、生活費の負担も大きくなるでしょう。

それでも、MBAの取得には様々なメリットがあります。主なメリットは、以下の3つです。

• 経営の体系的知識が身につく
• 人脈が広がる
• 英語力が向上する

それぞれのメリットの詳細について解説します。

MBAのカリキュラムは、経営に関する知識が体系的に学べるよう考え抜かれている点が特徴です。

必修科目として、コミュニケーション・会計学・経済学・統計学・ファイナンス・経営戦略などがあり、基礎から応用まで双方向の学習スタイルによって習得していきます。

講義は、事前にしっかり予習していることを前提に進行します。自分の経験をクラスメイトとシェアしたり、他のクラスメイトの意見に対して自分の意見を述べるなど、活発な議論が交わされることが特徴的です。

こうした取り組みの繰り返しにより、体系的な知識とともにビジネスで役立つ実践的なスキルが習得できます。

MBAプログラムを提供する大学院には、様々な業界において第一線で活躍しているビジネスパーソンが集まります。そのため、日本でビジネスマンをしているだけでは得られにくい、幅のある人脈形成が期待できるでしょう。

明確な目的意識を持ってMBA取得を目指している人が多く、切磋琢磨しながら一緒に学ぶことで、お互いに良い刺激を受けられます。

MBAの取得を通じて形成された人的ネットワークは修了後も継続する傾向があり、起業の際に協力したり、ビジネスパートナーとして連携したりと、単なる学友の枠を越えた交流が続くことが多くあります。

海外の大学院でMBAを取得する場合、基本的に講義は英語で受けることになります。

英語を聞き取る力だけでなく、英語でディスカッションしたりプレゼンテーションしたりする能力も問われるため、英語力向上が期待できるでしょう。

課題やレポートも全て英語で作成する必要があるため、英語の文書作成スキルも養われます。

グローバルな舞台で活躍していくためには、ビジネスで通用する英語力は必須です。MBAの取得を通じて英語のスキルアップを実現できるのは、大きなメリットといえるでしょう。

CFAとMBAは、「世界的に認知され、高く評価されている」という共通点があるため、比較されることがあります。

CFAとMBAの具体的な違いは、以下の通りです。

• 学ぶ内容の違い
• 取得方法の違い
• 取得後のキャリアの違い

それぞれの詳細について解説します。

CFAとMBAでは、学ぶ内容や目的に違いがあります。CFAは、投資管理や金融分析など、運用に関する内容を中心に、広く深く金融の基本知識を学びます。

CFAの資格取得は金融に関する専門知識と技術の証となり、グローバルレベルの金融アナリストとしての信頼を獲得できるでしょう。

一方のMBAの学びの中心は、経営学です。コミュニケーション・会計学・経済学・統計学・ファイナンス・経営戦略など、ビジネスに必要な科目を網羅的に学習します。

一部CFAと重複する部分もありますが、MBAの学びの目的は、ケースメソッドを用いたディスカッションなどを通じて、物事の捉え方や交渉力、プレゼンテーション力、リーダーシップなど、経営に必要な素養を身につけることにあります。

CFAは「資格」に該当するため、試験を受けて合格すれば取得できます。

試験範囲が広く難易度が高いことが特徴で、CFA資格を取得するためにはレベル1〜3の試験全てに合格する必要があります。試験は全て英語で行われるため、高い英語力がなければ突破は難しいでしょう。

一方のMBAは、CFAのような「資格」ではありません。大学院の修士課程を修了して与えられる「学位」です。

そのため、MBAを取得するためには、国内外のMBAプログラムを提供する大学院で学ぶ必要があります。仕事を続けながらMBAの取得を目指す場合は、オンラインで受講する方法もあります。

CFA資格取得後は、金融業界でキャリアを積むことが一般的です。銀行、証券、投資ファンド、保険など、様々な金融機関でCFA資格取得者が活躍しています。

職種としては、証券アナリストやポートフォリオマネージャー、リサーチアナリスト、リスクマネージャー、投資コンサルタントなどが代表的な例として挙げられます。

一方のMBAは取得後、社内で昇進や異動をして経営に近いポジションで働くケースが一般的です。なかには、他の企業へ転職したり、起業して独立したりする人もいます。

特に外資系金融機関はビジネスレベルの英語力が必須のため、転職の際に有利になるでしょう。

社内でステップアップするだけでなく、転職や起業など、キャリアチェンジを目指す場合もMBAは大いに役立ちます。

MBA取得のために学ぶ内容は、CFAの試験内容と重複する部分があり、活かすことが可能です。

MBAのカリキュラムには、財務や会計などの会計分野の科目が含まれています。そのため、投資管理に特化したCFA資格を取得する上で、土台としての役割を果たすでしょう。

大学院によって提供されるカリキュラムは異なりますが、MBA取得後にCFA資格の取得を目指す場合、選択科目を工夫することでCFAの学習内容の一部をカバーできます。

MBAとCFAの両方の取得を目指して同時に動くことにより、勉強の効率化が図れるでしょう。

またMBAで培った経営全般知識とマネジメント能力に金融分野における専門知識を兼ね合わせることで、将来において、企業におけるCFO職や金融分野に強い経営コンサルタントとしてのキャリアを目指すことが可能となるでしょう。

CFAもMBAも世界的に高い評価を得ている点が共通しており、取得できれば自分自身のキャリアの幅を広げられます。

両者の大きな違いは、CFAは資格の1つであるのに対し、MBAは学位に相当する点です。MBAを取得するにはMBAプログラムを提供する大学院で一定期間学ぶ必要があるため、取得のハードルはMBAのほうが高いといえるでしょう。

しかし、CFAもMBAも取得には相当の時間と労力を要することに変わりません。自分自身のキャリアパスを明確にし、CFAやMBAをどのように活用していくかを考えてから取得を検討するとよいでしょう。

MBAの取得を目指す場合、ネックとなるのが時間とお金の捻出です。海外の大学院へ留学する場合、一度キャリアを中断する必要があるでしょう。さらに、高額な留学費用を自分で負担することになります。

働きながら国内の大学院へ通学する場合も、職場や自宅の近くに大学院があるとは限らず、通学のために多くの時間を割くことになるケースが少なくありません。

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