今、自分のビジネスを立ち上げる「起業」を考える人が増えています。その中にはどのような業種で起業をしようか迷っている人もいるでしょう。

これまでの経験や資格、スキルに加え、資金面に注目して、業種を検討する人も多く見られます。

本記事では、起業するのにおすすめの業種、成功に向けたポイント、起業に有利となる資格やスキルについて具体的に解説します。

目次
起業するにあたっておすすめの業種
これから起業するなら押さえておくべきポイント
これから起業するのに役立つ資格・スキル
起業するなら業種や必要なスキルを確認しよう

「起業したいが、業種がなかなか決められない」という理由で、一歩踏み出せない人は少なくありません。

前提として、まずは自分自身の強みやビジネス機会を見つけることにじっくりと時間をかける必要がありますが、起業の際に不安を感じるポイントとして多く挙げられるのが「資金」の問題です。

資金が限られている場合は、融資が受けやすい業種や初期投資が少なく済む業種を選ぶことを検討してみましょう。

ここでは、資金面から見たおすすめの業種について紹介します。

起業の際に金融機関に融資を受けて開業するケースも多く見られます。特に融資を受けやすい業種を選択すると、資金調達のハードルが下がる傾向があります。

ここでは、特に融資を受けやすい傾向にある業種として「飲食業」と「旅館業」に焦点を当てました。どちらも、市場の需要が高く安定性があるため、開業率が高い業種です。

それぞれの業種例を紹介します。

飲食業は収益の仕組みが明確であるため、金融機関にとって事業の見通しを立てやすいのが特徴です。

日々の売上が現金で入ってくる場合、キャッシュフローの予測が立てやすくなるのもメリットです。

具体的な業種としては以下のような例があります。

業種	特徴
カフェ	シンプルな形態から開始できるため、参入障壁が低い
ラーメン店	日本人になじみが深く、需要が安定している
キッチンカー	移動販売車を使うため、初期投資を抑制できる
居酒屋	コミュニティの場になることもあり、客単価を上げやすい
テイクアウト専門店	店舗面積が抑えられるため、初期投資や固定費を抑制できる。テイクアウトやデリバリーの需要に対応

食事は人間の基本的なニーズのため、需要が比較的安定しているという側面があります。

ただし、街中で飲食店の入れ替わりを見ればわかるように、それだけ競争も厳しく簡単なビジネスではありません。

旅館業を始めようとする人は、建物や土地などの不動産を所有していることが多く、融資の担保として評価されやすい側面があります。

以下具体的な業種と特徴を紹介します。

業種	特徴
小規模な温泉旅館	地方の温泉地など。地域の特色を活かした運営を行うことで差別化できる
ゲストハウス	比較的低コストで運営可能。個性的なデザインや交流スペースで差別化できる
古民家再生	古民家をリノベーションして宿泊施設に活用。伝統的な雰囲気と現代的な快適さを提供
ワーケーション対応	リモートワークをサポートする設備や環境を整備。長期滞在者にも人気が高い
テーマ特化型	アニメや歴史など、特定のテーマやコンセプトに特化。特定層の顧客をターゲットとして集客

予約システムを通じて、売上予測が立てやすい点も融資が受けやすい要因です。

初期投資が少ない業種は融資を受ける必要もなく、手元の資金だけで始められる点が魅力です。

手軽に始められるため、ビジネスの副業として検討している人も多く見られます。オンラインベースの業種が多いため、低リスクで始められるのも特徴です。

ここでは、情報サービス業とWebコンテンツの制作業について解説します。

初期投資が少ない業種の1つが情報サービス業です。多くの場合、パソコンとソフトウェアのみで、工場や倉庫などの大規模な設備を必要としないため、コストを抑えてスタートできます。

具体的な業種例とその特徴を紹介します。

業種	特徴
ソフトウェア開発	パソコンと開発ソフトがあれば、技術力やノウハウを活用してすぐに始められる
データベースサービス業	データ管理・分析サービスの需要が増加しており、 AIや機械学習との連携など新技術を取り入れる余地がある
市場調査業	統計学やマーケティングの知識を活かして、データ分析に基づいた調査を提供できる

技術の進歩が速いため、常に最新の知識やスキルを学び続けることが重要です。

Webコンテンツの制作も、初期投資が少ない業種です。パソコンさえあれば、自宅やコワーキングスペースで事業を開始できます。

具体的な業種例とその特徴を紹介します。

業種	特徴
ブログ記事・Web記事制作	企業や個人からの需要が高い。SEOやライティングの知識が必要
動画コンテンツ制作	YouTubeやSNS向けなど需要が増加。幅広い分野での動画制作ニーズがある
Webサイトのコンテンツ企画・制作	サイトコンテンツから制作まで一貫して行う
SNSコンテンツ制作	InstagramやX（旧Twitter）などのコンテンツ制作・運用代行サービス

最初は個人や複数人など、小規模で始めたいと考えている場合にも最適な業種です。

多くの人が起業時に目指すのは、売上の安定と事業の長期的な継続です。しかし、競争が激しい中で成功を収めるためには、努力が必要不可欠です。

ここでは、起業を成功に導くために押さえるべきポイントを3つ見ていきましょう。

• スモールビジネスから開始する
• 事業のアピールポイントを見つける
• 常に学び続ける姿勢を持つ

起業する際は、スモールビジネスから始めることが重要です。また、現在企業勤めであれば、まずは副業という形でスタートすることも検討してください。

規模が小さいと初期投資や運営コストを抑えられるため、事業に失敗した場合のダメージが最小限で済みます。限られた資金を効率的に運用し、無駄な出費を抑えられる点もメリットです。

加えて、小規模であれば市場の変化に対しても柔軟な対応が可能になります。顧客との密接な関係を築くことで、顧客ニーズの理解が深まる点も魅力です。

スモールビジネスならではの強みを活かし、小さな成功を積み重ね、経験を得ながら段階的に事業を拡大することで、持続可能な成長の実現につながります。

事業のアピールポイントを見つけることは、競合他社との差別化を図る上で欠かせません。

事業のアピールポイントを含めた事業計画書（ビジネスプラン）としてまとめ上げることが重要です。事業計画書のフォーマットは書店等でも見つかりますが、商工会議所などで入手することも可能です。

独自の強みを明確にすると、市場での競争優位性を確立し、事業の方向性や目標をより明確にすることも可能です。

加えて、アピールポイントはブランディングの基盤となるため、マーケティング戦略として有効です。一貫したメッセージを発信し、事業の魅力を的確に伝えることで、顧客の関心を引きつけ信頼獲得につなげられるでしょう。

顧客と長期的な関係を構築することは、リピート購入など安定した売上が見込めます。

また、融資申請の際も、明確なアピールポイントを提示することで、資金調達の成功率向上が期待できるでしょう。

起業を成功させるには、常に学び続ける姿勢を持つことも重要です。技術の進歩やグローバル化により、ビジネス環境は急速に変化しているためです。

新技術やスキルを身につけることで、変化に対して柔軟に対応できます。逆に、学びを怠ると競争に後れを取るリスクが高まります。

セミナーやワークショップへの参加は、知識を深めるだけでなく、人脈を広げる機会にもなります。向上心のある人とつながりを持つことで、新たなビジネスチャンスにつながることもあるでしょう。

例えば、地域の商工会議所などが主催する起業セミナーはその地域の起業に関する専門家（金融や税理士など）や同じ志を持つ人たちとネットワークをもてる機会となるでしょう。

こういった場所に参加することで起業に関する助成金やビジネスプランコンテストなどの情報を集めてみるのも良いです。

新技術やツールの学習に力を割くためには、一定の時間が必要です。業務効率が下がると感じることもあるでしょう。しかし、長期的に見れば、業務の質や効率が大幅に向上しビジネスの成功につながります。

資格や学位の取得は、起業して経営を成功させるための有効な手段です。資格や学位を取得することで、自分の知識やスキルを客観的に証明し、顧客や取引先からの信頼を高められます。

ここでは、起業に役立つ資格とスキルを3つ紹介します。

• ファイナンシャルプランナー（FP）
• 中小企業診断士
• MBA

FPは個人の夢や目標に基づいたライフプランを策定し、資金計画のアドバイスを行う専門家です。資格取得で、税金、保険、資産運用、不動産などお金に関する幅広い知識が身につくため、起業時の金銭面の把握に役立ちます。

国家資格であるFP技能士（1級、2級、3級）に加え、民間資格のCFP®、AFPがあります。民間資格については、定期的な更新が必要です。

FPの資格を取ると、財務管理や税務の基礎知識が身につき、ライフプランの作成スキルも習得できます。これらは、個人の資産形成だけでなく、自分自身の事業計画や資金調達にも活用できる知識です。

さらに、資格を取得することで、FPとしての独立・起業を視野に入れることが可能です。自分自身の資産形成に活用できる点も、FPの大きな強みといえるでしょう。

参考：日本FP協会「FP資格取得を目指す｜ファイナンシャル・プランナー（FP）とは」

中小企業診断士は、経営コンサルタントとしての唯一の国家資格です。中小企業の経営診断や助言を行う専門家としての知識は、自ら起業を行う際にも経営状況を的確に把握し、事業を成功に導く大きな助けとなります。

筆記試験の第1次試験、筆記・口述の第2次試験に加え、実務補習が必要です。資格取得を通じて、経営知識に加え、事業計画策定、経営分析、リスク管理など幅広いスキルも身につきます。

さらに、中小企業診断士として独立・起業することも可能です。また、中小企業診断士としての専門性を他の業務とあわせることで、競合との差別化を図ることも期待できます。

また、中小企業診断士はビジネスプランの作成や起業に関する助成金のシステムにも精通することができるため、自らの起業計画に大いに役立つでしょう。

参考：一般社団法人中小企業診断協会「中小企業診断士制度｜中小企業診断士ってなに？」

MBA（Master of Business Administration）は、経営学の大学院修士を修了した人に授与される学位です。日本語では「経営学修士」と呼ばれています。

経営全般に関する専門知識と実践的なスキルを体系的に学びます。

経営戦略、経済学、ファイナンスなど幅広い経営知識を習得できるだけでなく、戦略的思考力やリーダーシップ、課題解決力の向上も期待できます。

また、海外のMBAプログラムには、世界各国から多様なバックグラウンドを持つ人々が集まるため、将来のビジネスパートナーや取引先になりうる人とのネットワーク構築も大きな魅力です。

さらに、MBA学位を取得することで社会的信用が高まり、キャリアの選択肢が広がる点もメリットです。起業や経営に関する知識やスキルを深めたい人にとって、有益な選択肢となるでしょう。

関連記事：Abitus UMass MBA「MBA（経営学修士）とは？ MBAの種類やメリット・難易度を解説」

起業を考える際、資金面の問題は非常に重要です。そのため、融資を受けやすい事業や初期投資が少ない事業を選択肢として検討するとよいでしょう。

特に、スモールビジネスで開始する、アピールポイントを明確にする、学びの姿勢を持ち続ける、という3点を押さえておくと起業後の成功が期待できます。

起業に役立つ経営や資金に関する幅広い知識を身につけるには、FPや中小企業診断士などの資格取得も有効です。

また、MBAを取得すると、経営全般に関する知識を身につけるとともに、実践で役立つスキルを習得しているとみなされ、社会的信用を高められます。

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