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  • 2024/05/28公開

ベースラインアプローチとは?セキュリティリスク分析の手法を解説

ベースラインアプローチとは?セキュリティリスク分析の手法を解説

情報セキュリティ対策を行う上で、リスク分析は非常に重要なプロセスです。

ベースラインアプローチとは、セキュリティリスク分析手法の1つです。あらかじめ実現すべきセキュリティ対策の最低基準を設定し、そのレベルに達したかどうかを判断するものです。

本記事では、ベースラインアプローチの定義や特徴について解説します。メリット・デメリットにも触れますので、参考にしてください。

目次
ベースラインアプローチとは
ベースラインアプローチのメリット
ベースラインアプローチのデメリット
セキュリティリスク分析の種類
企業のセキュリティレベルを高めるには情報システム監査も有効
ベースラインアプローチを含めたセキュリティリスク分析を行おう

ベースラインアプローチとは

ベースラインアプローチとは、セキュリティリスク分析手法の1つです。情報セキュリティの現状把握を行い、必要なレベルに達しているかどうかを確認します。

ここでは、次の2点について解説します。

  • 定義や特徴
  • 目的や重要性

セキュリティ対策の基礎となるベースラインアプローチについての理解が、効果的なセキュリティリスク管理の実現につながります。

定義や特徴

ベースラインアプローチは、セキュリティリスク分析手法の一種で、組織の情報セキュリティ状態を把握するためのギャップ分析とも呼ばれています。

既存のガイドラインや業界標準を参考にしながら、組織にとって適切なセキュリティレベルを設定します。その後、現状のセキュリティ対策と目標とのギャップを洗い出し、改善点を明らかにする手法です。

ガイドラインや標準を参照し、それらに沿ったセキュリティ水準の達成を目指します。

ベースラインアプローチの特徴として、リスク評価よりもセキュリティ対策の強化に重点を置いている点が挙げられます。ベースラインアプローチを行うことで、組織全体で一定のセキュリティレベルが確保できます。

ただし、個別のシステムやサービスに特化した対策については、別途検討が必要です。

目的や重要性

ベースラインアプローチの目的は、組織の情報セキュリティの現状を明確に把握し、目標に掲げたセキュリティ基準とのギャップを特定することです。

これにより、目標達成までのプロセスが明確になり、不足している部分や改善すべき点を把握できます。

ベースラインアプローチによるリスク管理は、必要なセキュリティ対策を適切に実施できるため、情報資産を保護しリスクを抑制する上で重要な役割を果たします。

なお、組織全体で一定のセキュリティレベルを維持するためには、ベースラインアプローチによる定期的な現状分析と改善が必要です。

ベースラインアプローチのメリット

ベースラインアプローチを取り入れると、組織のセキュリティ状況を把握し適切な対策を講じることができます。組織のセキュリティレベルを効果的に向上させ、リスクを適切に管理できる手法といえます。

導入のメリットは次の2つです。

  • 明確な基準設定ができる
  • コストと時間の効率化が図れる

詳しく見ていきましょう。

明確な基準設定ができる

ベースラインアプローチの大きなメリットは、明確な基準設定ができることです。業界基準やガイドラインなどを参考に、セキュリティ対策の基準となるベースラインを定義します。

ベースラインと現状を比較すると、不足部分や改善すべき点が明らかになるため、組織全体で統一したセキュリティ対策を実施できます。

現状との差異を把握し、具体的な目標を持って対策を進めることで、効果的にセキュリティレベルを高められるでしょう。ベースラインアプローチによる明確な基準設定は、組織のセキュリティ強化に大きく貢献します。

コストと時間の効率化が図れる

ベースラインアプローチのもう1つの大きなメリットは、コストと時間の効率化が図れることです。

ベースラインアプローチは、既存のガイドラインを活用して目標に掲げたベースラインに沿って、現状と比較しながらセキュリティ対策を実施する手法です。そのため、無駄な作業を省略し、リスク評価と管理を効率的に実施できます。

明確な基準に沿って対策を進めるため、無駄な作業を省略し必要な対策に集中できます。セキュリティ対策のコストを削って効率よく、かつ迅速に実施できるのです。

コストと時間の効率化は、作業工数の削減や予算管理の容易化にもつながります。

ベースラインアプローチのデメリット

これまで見てきたように、ベースラインアプローチは効率的なリスク管理を実施できる手法です。

一方で、次のようなデメリットもあります。

  • 個別システムへの対応不足
  • 未実施の対策群に対する選択基準の不明確さ

実際に導入する際は、デメリットを把握した上で運用することが必要です。詳しく見ていきましょう。

個別システムへの対応不足

ベースラインアプローチは、個別システムへの対応は十分にできません。

このアプローチは、基準に対する適合性の確認に重点が置かれるため、組織特有のシステムや環境に合わせた詳細なリスク分析が不足する傾向があります。結果として、ベースラインの基準を満たしていても、個別のシステムに潜む脅威や脆弱性を見落とす可能性があります。

このデメリットを補うには、ベースラインアプローチとあわせて、個別システムに特化した詳細なリスク分析を取り入れることが重要です。

システムごとに組織固有の脅威や脆弱性を特定することで、適切な個別対応につながるでしょう。

未実施の対策群に対する選択基準の不明確さ

ガイドラインなどで基準が設定できる項目においては、セキュリティ対策の基準は明確になります。しかし、ベースラインに含まれていない項目については、選択基準が設定できないため、不明確のままです。

つまり、自社のシステムに適した新たな追加対策を選択する際、その部分の項目がなければ、明確な基準を設けられないままの状態に陥るリスクが生じる点はデメリットといえます。

このデメリットを克服するには、自社のシステムの特性や業務内容を考慮し、リスク評価に基づく追加対策の選択基準を新たに設定することが必要です。

それにより、ベースラインに含まれない対策についても、適切な対応が可能になるでしょう。

セキュリティリスク分析の種類

情報セキュリティを確保するためには、セキュリティリスク分析が欠かせません。

組織の情報資産に対する脅威と脆弱性を特定し、リスクを評価することで、適切なセキュリティ対策の優先順位を決定できるためです。優先順位に基づいて対策を割り当てることで、効率的にリスク対策を実施できます。

ベースラインアプローチ以外にも、様々なセキュリティリスク分析の手法があります。主なものは次の3つです。

  • 非形式的アプローチ
  • 詳細リスク分析
  • 組み合わせアプローチ

それぞれの手法にはメリットとデメリットがあり、組織の規模、業種、セキュリティ要件などに応じて、適切な手法を選ぶことが必要です。

それぞれの分析手法について詳しく見ていきましょう。

参照:デジタル庁「デジタル社会推進実践ガイドブック|政府情報システムにおけるセキュリティリスク分析ガイドライン」

非形式的アプローチ

非形式的アプローチは、組織や担当者の経験と判断に基づいてリスク分析を行う手法です。

セキュリティ専門の担当者が、自身の経験や直感を頼りにリスクを評価するため、分析結果は個人に大きく依存します。体系的なリスク分析とは一線を画した手法です。

セキュリティ環境は絶えず変化しています。担当者の既存の知識や経験に依存する手法のため、これだけでは、未知のリスクや新たな脅威に対する十分な対応は困難です。

詳細リスク分析

詳細リスク分析は、「重要度」「脅威」「脆弱性」の評価指標に基づいてリスクを分析する手法です。

システムに関連するリスクを特定し、レベルを評価することで、ビジネスにリスクを及ぼす事象の影響度と発生頻度の識別を目指します。これにより、システムが抱える潜在的なリスクを洗い出し、優先順位を決定することができます。

詳細リスク分析の大きなメリットは、分析対象のシステム自体に対する正確なリスク評価が可能な点です。システムの特性を深く理解しリスクを詳細に分析するため、より効果的なセキュリティ対策が可能になります。

ただし、詳細リスク分析の結果を適切に評価するには、高度な専門性や経験を持つ人材の確保が欠かせません。また、評価者の作業負荷が高くなる点はデメリットといえるでしょう。

組み合わせアプローチ

組み合わせアプローチは、複数のリスク分析手法を併用し、作業の効率化と分析精度を向上させる手法です。

一般的には、ベースラインアプローチと詳細リスク分析を組み合わせた手法を指します。

ベースラインアプローチで網羅性を確保しつつ、重要な資産に対しては詳細リスク分析を用いてより詳細な分析を実施します。それぞれの手法のメリットを取り入れつつ、デメリットを補完できる手法です。

また、異なる評価視点を活用することで、リスクを多角的に捉えられます。単一の手法では見過ごすことのあるリスクの発見につながります。

ただし、2つの分析方法を効果的に組み合わせるための手法を、新たに策定しなければなりません。

企業のセキュリティレベルを高めるには情報システム監査も有効

企業のセキュリティレベルを高めるには、 ベースラインアプローチによるセキュリティリスク分析だけでなく、情報システム監査も有効な手段となります。

情報システム監査は、情報システムの信頼性、安全性、効率性を検証し、評価するプロセスです。システムの運用実態を詳細に検証し、ベースラインアプローチだけでは見落とされがちな問題点の特定が可能になります。

情報システム監査に役立つ資格として、「CISA®(公認情報システム監査人)」があります。情報システム監査人の専門性と能力を証明する国際資格として、広く認識されています。

セキュリティリスク分析に加え、CISA®による情報システム監査を行うことで、より堅牢なセキュリティ対策を講じることができるでしょう。

関連ページ:アビタス CISA®「公認情報システム監査人(CISA®)とは?資格の概要や魅力を解説」

CISAについてもっと知りたい方はこちら

ベースラインアプローチを含めたセキュリティリスク分析を行おう

セキュリティリスクを効果的に管理し、企業のセキュリティレベルを高めるには、ベースラインアプローチをはじめとしたセキュリティリスク分析の実施が欠かせません。

ベースラインアプローチは、既存のガイドラインなどを用いてセキュリティの基準を定め、現状と比較しながら課題点を洗い出す手法です。

ベースラインアプローチと同じくセキュリティリスク分析である詳細リスク分析を組み合わせることで、それぞれの短所を打ち消し、より包括的なセキュリティ管理が実現できます。

さらにセキュリティ対策を強化するには、セキュリティリスク分析に加え、情報システム監査の実施が有効です。

CISA®(公認情報システム監査人)による情報システム監査を実施すると、セキュリティ対策の有効性や適切性を客観的に評価し、改善点が明確になるため、より効果的で信頼性の高いセキュリティ対策を実現できるでしょう。

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