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【第1回】モビリティ企業への進化──“トヨタ再定義”の始まり
【第2回】生産・サプライチェーンの革新──「TPSの進化」と“次世代ものづくり”の本質
【第3回】人と組織文化──“トヨタウェイ”の進化とグローバル展開
目次
「世界一の自動車メーカー」からの転換点
EVシフトに“慎重かつ戦略的”な姿勢
「モビリティ・プラットフォーム構想」の胎動
トヨタ流「両利きの経営」
MBAの学びとの接点
トヨタ自動車は、2023年度に世界販売1,132万台を記録し、過去最高の業績を更新しました。しかし、そのトヨタがいま最も注力しているテーマは「販売台数」ではありません。キーワードは「モビリティ・カンパニー(Mobility Company)」――つまり“自動車を超えた存在”への変革です。
創業以来、トヨタは「良いクルマづくり」を使命に、品質・コスト・現場力を徹底して磨いてきました。しかし、EVシフトやカーボンニュートラル、CASE(Connected, Autonomous, Shared, Electric)の潮流により、「クルマをつくるだけでは生き残れない時代」が訪れています。
トヨタ自身も2023年の中期経営方針で、「モビリティを通じて社会課題を解決する企業」への変革を明言。単なる製造業から、モビリティ・サービスを中心とした“産業のプラットフォーマー”を目指す動きを強めています。
トヨタのEV戦略は、一見すると「出遅れている」と評されることもあります。実際、欧米メーカーがEV専業へ急進するなか、トヨタはハイブリッド車(HV)、プラグインハイブリッド(PHV)、燃料電池車(FCV)など、多様なパワートレインを並行開発してきました。
しかしその裏には明確な戦略があります。トヨタは世界各国のエネルギー政策やインフラ整備の速度に大きな地域差があることを見据え、「一国一解ではなく、最適解のポートフォリオ」を選択しています。
これはMBAで言うポートフォリオ戦略(Portfolio Strategy)の好例です。短期的なトレンドに流されず、リスクを分散しながら中長期的に最適な技術を進化させる設計思想。つまり、「技術ドミナンスを取ることよりも、顧客と社会の変化に柔軟に適応できること」を競争優位の軸にしているのです。
2026年には次世代EV専用工場「BEVファクトリー」が稼働予定。バッテリー、ソフトウェア、設計・製造プロセスを一体化した“トヨタ式EV”での巻き返しを狙っています。
トヨタの変革を語る上で欠かせないのが、モビリティ・プラットフォーム戦略です。これは単なる自動車販売から、移動サービス・データビジネス・社会インフラの提供へと事業の軸足を移す取り組みです。
その象徴が、愛知県で開発中の「Woven City(ウーブン・シティ)」構想です。自動運転車やロボット、AIを活用した実証都市を構築し、「移動」「エネルギー」「暮らし」をデータでつなぐ実験場としています。
Woven by Toyota(旧ウーブン・プラネット・ホールディングス)が中心となり、モビリティOS「Arene」や自動運転開発プラットフォームなど、トヨタを“ソフトウェア企業”へと進化させる基盤づくりが進んでいます。
ここで注目すべきは、製品や技術よりもデータとエコシステムの設計力です。
MBAで言うと、これはプラットフォーム戦略(Platform Strategy)やネットワーク外部性(Network Externalities)の実践にあたります。自動車単体の利益から、サービス全体の価値共創へ──ビジネスモデルの重心が明確に変わりつつあります。
一方で、トヨタが強いのは“変わりながら変えない”バランス感覚です。
EV・ソフトウェアなど新領域に投資を進める一方で、トヨタ生産方式(TPS)やカイゼン文化といった既存の強みも揺るいでいません。これこそMBAで言う両利きの経営(Ambidextrous Organization)の代表例です。
TPSは生産現場における「ムダの徹底排除」だけではなく、意思決定の分散化、現場主導の改善、チーム単位でのPDCAを通じて組織全体の俊敏性を支えています。
つまり、トヨタは“旧来の製造業の象徴”に見えながらも、内部ではアジャイル経営の要素を既に備えているのです。
トヨタの事例は、MBAで学ぶ経営理論と密接に関係しています。
| MBAの論点 | トヨタの実践事例 |
|---|---|
| 経営戦略論 | 技術・地域をまたぐマルチポートフォリオ戦略 |
| 組織デザイン | 両利きの経営による「改善と革新」の両立 |
| イノベーション論 | Woven Cityなどによる実証型イノベーションの推進 |
| プラットフォーム戦略 | モビリティOSを核にしたエコシステム構 |
つまり、トヨタはMBAで学ぶ「理論を現場で再現している企業」と言えます。
理論を理解することはもちろんですが、それを自社や自分のキャリアにどう適用するか――トヨタの変革は、その実践モデルとして極めて示唆に富んでいます。
次回第2回では、トヨタの競争力を支える根幹である生産・サプライチェーン構造の革新を取り上げます。
トヨタ生産方式(TPS)がどのようにグローバル最適化へ進化しているのか、デジタル技術と融合した「次世代ものづくり」の実像を紐解いていきます。
次回もぜひご覧ください!
次の記事はこちら
【第2回】生産・サプライチェーンの革新──「TPSの進化」と“次世代ものづくり”の本質
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