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BATIC(国際会計検定)と比較される資格として、USCPA(米国公認会計士)があります。
BATICとは国際会計検定のことで、東京商工会議所が主催する英語での会計に関する検定試験です。一方、USCPAは米国の公認会計士資格のことを指します。
この記事では、BATICとUSCPAの違いを「試験内容」「難易度」「費用」「転職・就職活動時の評価」4つのポイントから徹底比較します。
BATICやUSCPAは実際に就職・転職で役立つのか、BATICを受けてからUSCPA取得というルートは効果があるのかも解説しますので参考にしてください。
目次
BATIC(国際会計検定)とは
USCPA(米国公認会計士)とは
BATICとUSCPA比較|試験内容
BATICとUSCPA比較|難易度
BATICとUSCPA比較|費用
BATICとUSCPA比較|転職・就職活動時の評価
BATIC(国際会計検定)からUSCPA(米国公認会計士)ってどうなの?
遠回りせずUSCPA(米国公認会計士)の勉強から始めよう
まずは簡単にBATIC(国際会計検定)の基本概要を見ていきましょう。
BATICとは、東京商工会議所が主催する「英語での会計処理能力を測る試験」のことです。
グローバルな会計知識を身につけた人材であるという証明ができるため、海外展開をする企業での会計職を目指す人や、外資系企業への転職を希望する人向きの検定試験です。
BATICは、2022年11月28日の試験を最後に終了したため、現在では受けることができません。
取得した称号は試験廃止後も引き続き利用することができますが、2020年までのリニューアル前の試験で取得された「Subject2」の称号に関しては認定期間内に限り有効となります。
参考:東京商工会議所「BATIC(国際会計検定)®とは」
参考:東京商工会議所「新着情報・お知らせ|BATIC(国際会計検定)終了のお知らせ」
USCPAとは(U.S. Certified Public Accountant, 米国公認会計士)、米国各州が認定する公認会計士資格のことです。
歴史は古く、ニューヨーク州において公認会計士制度が創設されたのが1896年、第1回公認会計士試験が施行された1917年から数えて100年近い歴史があります。
アメリカの資格でありながら、日本をはじめとした世界中の業種、職種、年齢の人が就職や転職、キャリアアップなどの目的でUSCPA取得を目指しています。
USCPAは「世界で最も広く認知されたビジネス資格」と言われており、近年注目が集まっています。
BATICとUSCPAはどちらも国際的な会計に関する知識を英語で問われるという共通点はあるものの、試験内容は大きく違います。
項目 | BATIC | USCPA |
---|---|---|
出題形式 | 多肢選択式 記述問題 |
4択問題 総合問題 記述問題(BECのみ) |
出題言語 | 英語 | 英語 |
科目数 | 1科目 | 4科目 |
試験時間 | 70分 | 各科目4時間 |
試験範囲 | 英文簿記 | FAR(財務会計) BEC(ビジネス環境及び諸概念) REG(諸法規) AUD(監査及び証明業務) |
認定基準 | 400満点で、得点に応じて称号を付与。 初級レベル(50% 200点~319点) → Entry 中級レベル(80% 320点~359点) → Middle 上級レベル(90% 360点~400点) → Advanced |
4科目いずれも99点満点で、75点以上で合格 他の受験者の成績にかかわらず、自身の点数が75点を超えれば人数に制限なく合格 科目合格には18ヶ月(1年半)の有効期限あり |
BATICとUSCPAの試験内容をそれぞれ具体的に見ていきましょう。
BATICの試験(ここでは2021年度にリニューアルされた新BATIC)は受験者のパソコン、もしくは各地のテストセンターに備え付けのパソコンでインターネット環境を利用し、受験する試験方式です。
BATICの科目は1科目で、出題形式は多肢選択式、記述問題の2つ、試験時間は70分、出題は全て英語でおこなわれます。
出題内容は大きく分けて、旧BATICのSubject1にあたる「英文簿記」と「Accounting for Assets and Liabilities(資産と負債の会計処理)」の2分野です。
公式テキストの基礎知識と、その理解を基にした応用力が問われます。
試験結果は合否ではなく、400点満点のスコア制で得点割合に応じた称号が与えられます。
称号名 | レベル | 得点割合 | 得点 |
---|---|---|---|
Advanced | 上級レベル | 90% | 360点以上 |
Middle | 中級レベル | 80% | 320点以上 |
Entry | 初級レベル | 50% | 200点以上 |
USCPAの試験はテストセンターのコンピューターで解答するComputer Based Testing(CBT)です。
出題形式は4択問題、総合問題、記述問題(BECのみ)の3つで、試験時間は各科目4時間、出題は全て英語でおこなわれます。
USCPA試験は4科目の構成ですが、一度に全ての科目を受ける必要はなく、受験の時期は科目ごとに自由に選択することができます。(科目合格には18ヶ月の有効期限あり)
会計士として実務をこなす上で基礎となる知識が幅広く出題されます。
4科目いずれも99点満点で、75点以上で合格で、他の受験者の成績にかかわらず、自身の点数が75点を超えれば人数に制限なく合格となります。
関連記事:USCPA試験制度について
次にBATICとUSCPAの難易度について比較してみましょう。
一般的にBATICよりもUSCPAのほうが難易度は高いとされます。
項目 | BATIC | USCPA |
---|---|---|
勉強時間 | 40〜60時間 | 1,200~1,500時間 |
合格率 | スコアによって称号が与えられるため合格率はなし | 57.7%(2020年) |
BATICとUSCPAの難易度をそれぞれ具体的に見ていきましょう。
新BATICの出題範囲は、旧BATICのSubject1(英文簿記)とほぼ同じで、Subject2(国際会計理論)は出題範囲から除外され、難易度はやや低下しました。
勉強時間は40〜60時間程度が一般的で、公式テキストと公式問題集を購入することで独学も可能です。
スコアによって与えられる称号が変わるため合格率はありませんが、2020年度の旧BATICでは1,282人のうち105人が最高レベルである「Controller Level」の称号を得ています。
また、新BATICは日商簿記2級、TOEIC®750点以上の人が受けていることが多く、難易度はそこまで高くありません。
参考:BATIC(国際会計検定)®とは「2020年度 試験結果 (全国分)」
USCPAの資格取得に必要な勉強時間は、一般的に1,200〜1,500時間といわれています。
1日の勉強時間を5時間とした場合、1週間あたりの勉強時間は35時間にも及びます。
また、USCPA全受験者における平均合格率(2022年1月~9月)は53.5%で、合格率は低くはありません。
ただし、「短期間(最初の科目合格から18ヶ月以内)で試験4科目全てに合格する必要がある」ことや「受験資格を得るまでが大変」なことを踏まえると、独学での取得は難しいとされます。
以上のことから、一般的にBATICよりもUSCPAのほうが難易度が高いと言われています。
参考:AICPA「Learn more about CPA Exam scoring and pass rates」
BATICとUSCPAの取得までにかかる費用を比較してみましょう。
それぞれの予備校代、テキスト代、受験費用は以下のとおりです。
項目 | BATIC | USCPA |
---|---|---|
予備校代 | 2万〜3万円程度 | 約30万〜80万円 |
テキスト代 | 約6,000円 | 1万〜2万円程度 |
受験費用 | 5,500 円 CBT方式は、利用料 2,200 円が別途必要 |
受験資格を得る準備費用:1万~2万円 受験費用:40万円程度 |
BATICとUSCPAの費用をそれぞれ具体的に見ていきましょう。
BATICは独学で受験する人が多数ですが、予備校でもBATIC対策コース等を用意している場合があり、2万〜3万円程度でした。
また、「BATIC(国際会計検定)®公式テキスト」と「BATIC(国際会計検定)®公式問題集」が発売されており、テキスト代は2つで約6,000円になります。
公式テキストでは、英文簿記に関する基本的な内容や、仕訳から財務諸表作成まで簿記の手順に従って学習できるだけでなく、財務諸表分析や現金管理など、実務的な知識も得ることができます。
受験費用は5,500円(税込)で、CBT方式(テストセンターで受験)では、利用料2,200円(税込)が別途必要になります。
BATICは予備校に通ったとしても、合計で4万〜5万円程度とコストが低いのが特徴です。
USCPAを取得する際には予備校に通うのが一般的で、学費は30万〜80万円ほどです。
さらに、受験資格を得る準備費用(英文成績証明書・英文卒業証明書や学歴評価料)が1万〜2万円、受験費用は州によって異なりますが約40万円必要になります。
予備校に通った場合には、総費用は70万〜120万円程度です。
独学では予備校代はカットできるためテキスト代1万〜2万円程度で済みますが、正しいテキストの選定をしなければ無駄に費用がかさむ場合もあります。
やはりUSCPAは取得難易度が高いため、予備校に通うほうが効率が良いでしょう。
関連記事:アビタスについてはこちら
BATICとUSCPAの就職・転職活動での評価を、知名度・採用担当から見た印象・転職先から比較します。
項目 | BATIC | USCPA |
---|---|---|
知名度 | 低い | グローバルでの知名度は高い |
採用担当から見た印象 | 「Controllerレベル(旧BATIC)」「Advanced(新BATIC)」は評価される傾向にある | 海外事業を展開する国内企業、外資系企業や海外就職では特に評価される傾向にある |
転職先例 | 外資系企業 海外企業と取引のある企業 海外子会社をもつ企業 |
監査法人や会計事務所 コンサルティングファーム 大手企業の経理部門 一般企業での経理・財務CFO・CEOなどのトップ・マネジメント |
BATICとUSCPAの就職・転職活動の評価をそれぞれ具体的に見ていきましょう。
BATICの知名度は低く民間資格であるため、就職・転職活動の有用性も高くないとされます。
さらに、BATICは2022年度で終了しており、2023年現在は受けることができません。
ただし、終了後も称号は引き続き利用できる(Subject2の称号に関しては認定期間内に限り有効)ため、会計の専門スキルと英語力を評価される可能性があリます。
特に「Controller(旧BATIC)」は日商簿記検定1級、TOEIC750点レベルとされます。
BATICの就職・転職で有利に働くのは、外資系企業や海外企業との取引がある経理職でしょう。
USCPAはグローバルな資格であるため海外での知名度は高く、幅広い業種や職種においてそのスキルを活かすことができます。
会計業務未経験であっても、監査法人や会計事務所、コンサルティングファーム、大手企業の経理部門などからオファーを得ています。
また、監査・税務業務を行っている人は全体の4割以下で、その他は一般企業での経理・財務や、CFO・CEOなどのトップ・マネジメントを含めた幅広いポジションで活躍しています。
USCPA取得者は会計士としてのスキルだけでなく、会計で用いるビジネス英語の知識もあるという証明になり、特に外資系企業や海外就職への就職・転職での市場価値は高いとされます。
BATICを受験してからUSCPAを取得を目指すというルートがあります。
BATICとUSCPAは「英語×会計」という点では共通する部分もあります。
ですが、BATICの学習範囲はUSCPAの科目であるFAR(財務会計)を多少カバーできる程度です。
また、BATICは2022年度で終了になっているため、今後受けることはできません。
USCPA取得への足掛かりにする場合には、「簿記1級」や「TOEICハイスコア」を目指すほうが、万が一資格取得を断念してもリカバリーが効きやすいでしょう。
結論として、BATICにこだわらず「最初からUSCPAの勉強を始めた方がいい」と言えます。
すでにBATICを受験済みの場合は、BATICの試験で学んだ知識を活かしてUSCPAの勉強に取りかかることができます。国際的な会計知識をワンランクアップさせることができるため、一度検討してみましょう。
BATICとUSCPAの違いを「試験内容」「難易度」「費用」「転職・就職活動時の評価」4つのポイントから比較しました。
BATICとUSCPAの学習内容は一部共通する部分はありますが、BATICの試験内容はUSCPAのFAR(財務会計)を多少カバーできる程度で、難易度もUSCPAのほうが高くなっています。
知名度、転職・就職活動時の評価もUSCPAのほうが高いため、USCPAを最終目標とするなら、最初からUSCPAの勉強に集中することがおすすめです。
また、BATICは2022年度で終了しており、2023年現在は受けることができないので注意しましょう。
国際資格の専門校であるアビタスでは、5,500人以上のUSCPA合格者を輩出しており、 日本在住合格者の3人に2人はアビタス卒業生です。
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※記事に記載の内容は2023年2月時点のものを参照しています。
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