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USCMA(米国公認管理会計士)とUSCPA(米国公認会計士)という資格の名称は聞いたことがあるものの、それぞれどのような資格・試験内容なのか把握できていないという人もいるのではないでしょうか。
本記事では、USCMAとUSCPAの試験科目や受験資格、難易度などの違いを解説します。資格取得を検討している人はぜひ参考にしてください。
目次
USCMAとUSCPAの違い
USCMAとUSCPAどちらを先に取るべき?
USCMAとUSCPAの違いを理解して自分に合った資格を選ぼう
USCMAが企業の意思決定の材料となる「管理会計」を専門としている一方で、USCPAはルールに基づいた報告をするための「財務会計」を専門としている資格です。
試験内容や難易度などの観点からUSCMAとUSCPAの違いについて見ていきましょう。
USCMAとUSCPAの試験科目や受験資格などを表にまとめました。
項目 | USCMA | USCPA | |
---|---|---|---|
試験科目数 | 2科目 | 4科目(必須3科目+選択1科目) | |
試験科目 | ・Financial Planning, Performance, and Analytics(財務計画、パフォーマンス、および分析) ・Strategic Financial Management(戦略的財務管理) |
必須科目 | ・FAR(財務会計) ・AUD(監査及び証明業務) ・REG(税法及び商法) |
選択科目(3つの中から1つ選択) | ・BAR(ビジネス分析及び報告) ・ISC(情報システム及び統制) ・TCP(税法遵守及び税務計画) |
||
受験資格 | 受験資格の要件は特に無いが、登録時に以下の両方の要件を求められる ・4年制大学卒業(※学部問わず) ・連続2年以上の管理会計 ・財務管理に関係する実務経験 |
・4年制大学卒業 ・特定科目の単位取得者 ※例えばニューヨーク州の場合、総取得単位120単位かつ 以下4つの指定科目の取得者であること Financial Accounting(Upper Division)、Auditing(Upper Division)、Taxation、Management Accounting |
|
難易度(合格率 | 約50% | 約40~60% | |
キャリアの違い | ・会計 ・監査 ・税務 |
・監査法人 ・コンサルティングファーム ・会計事務所 |
|
費用 | 約$1,585(約24万円) | 約$924~$1,119(1科目) (約14万〜17万円 ※日本で受験する場合) |
※費用の金額は1ドル150円で計算
ここからは、それぞれの違いについて詳しく解説します。
参照:IMA CMA Certification「CMA® (Certified Management Accountant)」
参照:AICPA & CIMA「Learn more about CPA Exam scoring and pass rates 」
USCMAとUSCPAの試験科目の違いは次の通りです。
資格名 | 試験科目 | |
---|---|---|
USCMA | ・Financial Planning, Performance, and Analytics(財務計画、パフォーマンス、および分析) ・Strategic Financial Management(戦略的財務管理) |
|
USCPA | 必須科目 | ・FAR(財務会計) ・AUD(監査及び証明業務) ・REG(税法及び商法 |
選択科目(下記3つの中から1つ選択) | ・BAR(ビジネス分析及び報告) ・ISC(情報システム及び統制) ・TCP(税法遵守及び税務計画) |
それぞれの試験科目と出題内容について詳しく見ていきましょう。
USCMAの試験は次の2科目で構成されています。
各科目の試験内容の詳細は次の通りです。
まず、Financial Planning, Performance, and Analyticsです。主に財務計画や業績の管理・分析に関する問題が出題されます。
科目名 | 出題内容 |
---|---|
External Financial Reporting Decisions | 外部財務報告の決定 |
Planning, Budgeting, and Forecasting | 計画・予算・予測と編成 |
Performance Management | 業績管理 |
Cost Management | 原価管理 |
Internal Controls | 内部統制 |
Technology and Analytics | テクノロジー・分析 |
次に、Strategic Financial Managementです。主に財務諸表分析やリスク管理、職業倫理について問われます。
科目名 | 出題内容 |
---|---|
Financial Statement Analysis | 財務諸表の分析 |
Corporate Finance | 企業財務 |
Decision Analysis | 意思決定の分析 |
Risk Management | リスク管理 |
Investment Decisions | 投資の意思決定 |
Professional Ethics | 職業倫理 |
出題形式は4肢択一式問題(100題)と記述式問題(2題)です。
それぞれの科目ごとに0から500ポイントのスコアに換算されます。合格するためには、各科目360ポイント以上のスコアを獲得する必要があります。
参照:IMA CMA Certification「To help candidates prepare for the CMA®」
USCPAは2024年の新試験制度により、必須科目3つと選択科目1つの計4科目で構成されています。
各科目の出題内容を詳しく見ていきましょう。
科目名 | 出題内容 | |
---|---|---|
必須科目 | FAR(Financial Accounting and Reporting)財務会計 | ・財務報告 ・貸借対照表の勘定科目の選択 ・取引の選択 |
AUD(Auditing and Attestation)監査及び証明業務 | ・倫理、職責、一般原則 ・リスクの評価と計画的な対応の策定 ・更なる手続の実施と証拠の入手 ・結論の形成と報告 |
|
REG(Taxation and Regulation)税法及び商法 | ・倫理、職業上の責任、連邦政府、税務手続き ・ビジネス法 ・財産取引に対する連邦課税 ・個人に対する連邦課税 ・事業体の連邦課税(税務申告を含む) |
|
選択科目(どれか1つを選択) | BAR(Business Analysis and Reporting)ビジネス分析及び報告 | ・ビジネス分析 ・技術的な会計と報告 ・州および地方自治体 |
ISC(Information Systems and Controls)情報システム及び統制 | ・情報システム・データ管理 ・セキュリティ・機密保持・プライバシー ・システム・組織管理(SOC)の留意点 |
|
TCP(Tax Compliance and Planning)税法遵守及び税務計画 | ・個人の税務コンプライアンスと計画および個人の財務計画 ・法人の税務コンプライアンス ・法人の税務計画 ・財産の取引(資産の処分) |
4科目全てを1度の受験で合格する必要はありません。1科目ずつ受験し、最終的に4科目全てに合格することで、USCPAを取得できます。
ただし、原則として最初の科目合格から18カ月が過ぎると、その科目の合格は失効してしまうため注意しましょう。なお、合格点は各科目75点以上です。
2024年1月より新試験制度に移行しています。詳しい情報は下記のページでどうぞ。
参照:アビタス「 USCPA「ニュース|2024年のUSCPA新試験制度(CPA Evolution)について」
USCMAとUSCPAの受験資格は次の通りです。
資格名 | 受験資格 |
---|---|
USCMA | 受験資格の要件は特に無いが、登録時に以下の両方の要件を求められる ・4年制大学卒業(※学部問わず) ・連続2年以上の指定分野における実務経験 |
USCPA | ・4年制大学卒業 ・特定科目の単位取得者 |
2つの資格はともに大学卒業が要件となります。加えて、USCPAの場合、特定科目の単位を取得しなければなりません。
それぞれ詳しく見ていきましょう。
受験資格に要件はありませんが、登録できるのは4年制大学の卒業生に限ります。特に学部は問われず、日本の大学の卒業でも受験可能です。
この要件は受験時のものではなく、ライセンス登録時(合格から7年以内)に大学を卒業していれば問題ありません。そのため、USCMAの受験自体は大学在学中でも可能です。
4年制大学の学位に加え、特定の会計科目の単位が必要です。「会計単位」と「ビジネス単位」を一定数以上取得しなければなりません。
USCPAの資格取得を視野に入れている人は、特定科目の単位取得について確認しておきましょう。
USCMAとUSCPAの難易度(合格率)を比較します。
資格名 | 難易度(合格率) |
---|---|
USCMA | ・Part1(Financial Planning, Performance, and Analytics):約50% ・Part2(Strategic Financial Management):約50% ※1 |
USCPA(旧試験制度) | ・FAR:41.16% ・AUD:45.71% ・REG:63.44% ・BAR:41.04% ・ISC:56.15% ・TCP:78.16% ※2 |
※1:USCMAの合格率は地域によって異なるため目安の合格率になります。
※2:2024年第2四半期までの科目別平均合格率になります。
合格率を見ると、2つとも難易度はそれほど高くないように見えます。しかし、試験では英語力や専門的な知識が求められるため、USCMAやUSCPAの難易度は高いと考えておきましょう。
参照:AICPA®&CIMA®「Resources|Learn more about CPA Exam scoring and pass rates」
参照:IMA「IMA Management Accounting Certifications|CMA FAQs|What is the pass rate for the CMA exam?」
世界平均でPart1(Financial Planning, Performance, and Analytics)が約50%、Part2(Strategic Financial Management)が約50%とされています。
数値だけを見ると、約2人に1人が合格していることが分かります。
USCPAは2024年1月から新試験制度に移行しています。
合格率は1年に4回公表され、2024年第2四半期までの科目別平均でのUSCPAの合格率は下記の通りです。
科目 | 合格率 |
---|---|
FAR(財務会計) | 41.16% |
REG(税法及び商法) | 45.71% |
AUD(監査及び証明業務) | 63.44% |
BAR(ビジネス分析及び報告) | 41.04% |
ISC(情報システム及び統制) | 56.15% |
TCP(税法遵守及び税務計画 | 78.16% |
原則として、受験資格の段階で4年制大学卒業や特定科目の単位取得など、ある程度の知識が求められるため、各科目の合格率が約40%以上、科目によっては70%を超える合格率となっていることが想定されます。
関連記事:アビタス「USCPA(米国公認会計士)の難易度、合格率や勉強時間などを解説!」
ここでは、USCMAとUSCPAの受験にかかる費用の目安を比較します。
資格名 | 費用 |
---|---|
USCMA | ・IMA(米国管理会計人協会)への登録:$295 ・受験申請(3年間有効):$300/回 ・受験料:$495/科目×2科目 |
USCPA | ・学歴評価手数料:$100~$225 ・初回出願手数料:$90~$140 ・再出願手数料:$85~$100 ・受験料:$344~$364(1科目) ・国際会場手数料:$390(1科目) |
USCPAの手数料や受験料は州によって異なります。それぞれ詳しく見ていきましょう。
参照:IMA CMA Certification「Enroll: How to Become a CMA (Certified Management Accountant)」
まず、USCMAの費用です。
項目 | 費用 | 合計 |
---|---|---|
IMA(米国管理会計人協会)への登録 | $49~$295 | 約$1,585 |
受験申請(3年間有効) | $300/回 学生:$225/回 |
|
受験料 | $495/科目×2科目 学生:$370/科目×2科目 |
学生と社会人では受験料が異なります。また、IMAへの登録料も次の3パターンに分かれています。
社会人がプロフェッショナルとして登録する場合、約$1,585(約24万円)の受験費用が必要です。※※費用の金額は1ドル150円で計算
もし3年以内に2科目の試験に合格できなかった場合は、再度受験申請料として$300かかるため留意しておきましょう。
USCPAの費用は次のようになります。
項目 | 費用 | 合計 |
---|---|---|
学歴評価手数料 | $100~$225 | 約$924~$1,119 (1科目) |
初回出願手数料 | $90~$140 | |
受験料 | 約$734~754(1科目) |
学歴評価手数料は学歴評価機関によって異なり、FACSまたはNIESのどちらかの機関を利用します。FACSの場合$100と安価で、NIESの場合は$225です。
初回出願手数料は出願する州によって費用が異なります。再出願する場合、再出願手数料として$85~$100が必要です。
受験料は州によって異なります。ここで紹介しているのは、日本会場手数料の$390と合算した額です。
全てを合計すると、1科目当たりに必要な費用は$950程度となります。
参照:NASBA「Hawaii|Applying for the Uniform CPA Examination」
参照:NASBA「Montana|Applying for the Uniform CPA Examination」
USCMAとUSCPA、それぞれのキャリアの違いを見ていきましょう。
資格名 | プラスに働く業種・職種の例 |
---|---|
USCMA | ・会計 ・監査 ・税務 |
USCPA | ・監査法人 ・コンサルティングファーム ・会計事務所 |
どちらも英語力のアピールにはなるものの、日本国内においてはUSCMAよりもUSCPAのほうが知名度が高いため、より転職や就職においてプラスに働くケースがあります。
USCMAを取得しておくことで会計・監査・税務分野で活躍できます。また、英語のレベルが高いという証明にもなるため、外資系企業への就職や転職では英語力のアピールツールとしても活用できます。
合格後ライセンス登録を行うことで、名刺に「USCMA」と記載できるため、管理会計の専門家であることを示すことができます。
ファイナンシャル・プランナーや中小企業診断士など他の資格とともにアピールできれば、高い評価を受けることができるでしょう。
USCPAはUSCMAに比べ知名度が高く、取得は国際的な監査基準への理解の深さの証明になります。監査法人やコンサルティングファーム、外資系企業への転職や就職ではプラスに働くでしょう。
英語で会計業務をこなせる人材は、現地の担当者と円滑なコミュニケーションを図ることが期待できるため、世界的に展開している企業においてニーズは高いといえます。
USCMAは日本国内での知名度が低く、資格を募集要件に掲載している企業はほとんどありません。
外資企業であれば一定の認知度があるため、外資系企業への転職に使えるケースはみられます。特に、外資系管理会計に進みたければUSCMAを検討してみてもよいでしょう。
一方、USCPAはUSCMAに比べると日本国内での知名度が高く、評価されやすい資格です。幅広い企業や業界で活躍したい場合は、USCPAの取得を検討してみましょう。
USCMAは試験時の受験資格要件はありませんが、登録するためには4年制大学の卒業生であることが必要です。学部は特に問われません。
一方、USCPAは受験資格として原則4年制大学卒業と特定科目の単位取得が必要です。
特定科目の単位を取得していない人にとって、USCPAはすぐに受験できる資格ではないため、ハードルが高いと感じる人もいるでしょう。
しかし、グローバル展開している日本企業においてはUSCPAのほうが広く認知されているため、USCPAのほうが就職活動においてプラスに働く資格といえます。
外資系管理会計に進みたいと考えている人はUSCMAの資格取得を検討してみてもよいでしょう。
USCMAとUSCPAはそれぞれ試験科目や受験費用などが大きく異なります。自分に合った資格を選び、取得を目指しましょう。
国際資格の専門校であるアビタスでは、6,700人以上のUSCPA合格者を輩出しています。日本在住合格者の3人に2人はアビタス卒業生です。
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