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  • 2024/01/24公開

コンプライアンス違反事例11選 違反のリスクや原因、3つの対策法を解説

コンプライアンス違反事例11選 違反のリスクや原因、3つの対策法を解説

企業でコンプライアンス違反が発覚した場合、信頼度の低下や売上減少など、大きなダメージを受けることも少なくありません。

よくある事例や原因、対策方法を知ることが、コンプライアンス違反の防止につながります。

本記事では、代表的なコンプライアンス違反の事例、違反を起こす原因、対策方法を中心に解説します。

目次
コンプライアンスの意味とは
コンプライアンスを遵守する理由・必要性
コンプライアンス違反の事例「情報漏えい」
コンプライアンス違反の事例「法律違反」
コンプライアンス違反の事例「労働環境」
コンプライアンス違反が起こる3つの原因
コンプライアンス違反発覚によって考えられるリスク
コンプライアンス違反を防止する3つの対策法
公認不正検査士(CFE)資格の取得によって不正対策強化がしやすくなる

コンプライアンスの意味とは

コンプライアンスはもともと、「遵守」を意味する言葉です。

しかし、近年ビジネスで用いられている「コンプライアンス」は、法令遵守だけでなく、企業倫理、公序良俗など、社会の規範や道徳、社内の就業規則やルールを守ることも意味しています。

ただし、企業のコンプライアンスの明確な定義はありません。加えて、コンプライアンスで守るべきものの中には公序良俗や倫理観など時代によって変化するものが含まれています。

コンプライアンスを遵守する理由・必要性

企業にはコンプライアンス遵守が求められます。コンプライアンス遵守を怠ると、社会からの信頼が失われるためです。

コンプライアンス違反を起こすと、企業イメージや信頼を大きく損ないます。信頼回復にはかなりの時間が必要です。コンプライアンス違反がきっかけで、倒産に至った企業もあります。

従業員一人ひとりが高い倫理観を持ち、コンプライアンス遵守の精神を持つことが、企業価値の向上や社会からの評価獲得につながります。

関連記事:アビタス CFE「コンプライアンスとは?遵守の必要性や対象範囲、必要な取り組みを解説

コンプライアンス違反の事例「情報漏えい」

情報漏えいとは、顧客の個人情報や企業の重要機密などが外部に漏れることを指します。情報漏えいが発生すると、企業の信用失墜、賠償責任の発生などの深刻な損害が生じるケースも少なくありません。

その原因には、大きく分けて内部と外部という2つのパターンがあります。具体的な事例を3つ紹介します。

  • 事例(1)顧客情報の持ち出し
  • 事例(2)個人情報不正利用
  • 事例(3)サイバー攻撃による情報漏えい

情報漏えいを防止するには、ルール設定や従業員教育の徹底などが必要です。情報をデータで管理している場合は、ネットワークやシステムのセキュリティ対策にも気を配りましょう。

事例(1)顧客情報の持ち出し

不動産業を行うA社の子会社で、顧客情報の持ち出しが明らかになりました。退職した元従業員が転職に際して、64件の顧客情報を持ち出したというものです。A社は刑事告訴し、元従業員は逮捕されました。

このように、転職先に顧客情報や技術情報などを提出することを「手土産転職」といいます。また、従業員が自社の顧客情報を第三者に販売する事件も起きています。

データを外部に持ち出すと閲覧できなくなるよう、ファイルの暗号化を導入すると情報漏えいの防止につながります。

事例(2)個人情報不正利用

大手自動車会社で、約6,000件の顧客情報の目的外使用が行われました。

顧客から収集した個人情報を、同意を得ずに同社提供のウェブサイトへ無断で入力し会員登録を行なっていたのです。行っていたのは同社系列の27社であり、ウェブサイト登録ユーザー数の目標を達成するための不正でした。

問題発覚後、登録情報を削除した上で、顧客の同意がなければ登録できないようシステムの改修を行いました。あわせて、被害者に謝罪を行っています。

個人情報の不正利用防止には、情報の利用方法に関するルールを定め徹底することが大切です。

事例(3)サイバー攻撃による情報漏えい

サイバー攻撃によって、某団体が主催したセミナーの参加者名簿より約1万2,000件の個人情報が漏えいしたという事件がありました。名簿には、氏名・住所・電話番号・メールアドレス・企業名などが記載されていたといいます。

ファイルにはパスワードをかけておらず、管理しているパソコンはインターネットに接続していました。団体は連絡先が明らかな人に対し、メールまたは文書で漏えいの可能性を伝えています。

サイバー攻撃から情報を守るためには、徹底したセキュリティ対策の強化が必要です。

コンプライアンス違反の事例「法律違反」

法律違反とは、国家や自治体が定めた法令に違反する行為を指します。ビジネスを行う際は、会社法や著作権法など各法令の遵守が欠かせません。

ここでは具体的な事例を4つ紹介します。

  • 事例(1)著作権法
  • 事例(2)食品衛生法
  • 事例(3)出資法
  • 事例(4)不正会計・不適切会計

大企業であれば法務部門を設置して、法律違反防止に努めているところも多いでしょう。一方、中小企業の中には法務部門を設置していない企業も見られます。

法務部門の設置が難しい場合は、顧問弁護士を雇うなど、法務機能のアウトソーシングを検討してみるのも1つの方法です。

事例(1)著作権法

新聞記事をデータ化し社内のイントラネットで全社員と共有していた鉄道会社が、新聞社に著作権法違反で提訴されました。また、ポスティング会社が住宅地図を無断複製、大量に頒布し、著作権法違反で提訴された事件もありました。

2つの事件では、裁判で新聞記事や地図データが「著作権法上の著作物」であると判断されています。著作権法違反を防止するには、何が著作物に該当するかを理解する必要があります。

事例(2)食品衛生法

食中毒事件を起こすと、食品衛生法違反として行政処分または行政指導の対象となります。それ以外にも、食品衛生法違反の対象となるケースがあります。

例えば、食肉販売業者が牛のレバー刺しを提供し、行政処分の対象となりました。牛レバーを生食用として販売・提供することは、2012年7月より食品衛生法で禁じられているためです。

法律は適宜改正されていますので、改正情報を常に把握することが大切です。

事例(3)出資法

出資の受入れ、預り金及び金利等の取締りに関する法律である出資法は、金融業者に対し金利の上限を超えた不当に高い金利で貸し付けを行うことを禁じる法律です。

給料を受け取る権利を債権とする「給料ファクタリング」と呼ばれる契約がありますが、多額の手数料を求める業者が増加したため社会問題となりました。

その中で、超高金利の利息を受け取った給料ファクタリング業者が逮捕された事件がありました。この業者は貸金業の登録をしておらず、出資法違反と同時に貸金業法違反容疑もかけられています。

このような法律違反を防ぐためには、多くの法律を熟知しなければなりません。

事例(4)不正会計・不適切会計

不正会計や不適切会計とは、会計上の数字を操作し実際とは異なる利益や負債で決算を行うことを指します。

例えば、利益の水増しという手口には、株主や債権者に対して、企業の実績を過大評価させる狙いがあります。

実際に利益の水増しを行った企業では、関与した経営陣に賠償金の支払いが命じられました。また、企業は上場廃止に追い込まれています。

不正会計や不適切会計では、費用の過大計上や売上の未計上などで、利益を少なく見せる手口もあります。これは、納税額を減らすことなどを目的としています。

不正会計は、株主や債権者、税務当局などに対する違法行為で、刑事罰や課徴金の対象となります。上場廃止や破産に追い込まれたケースもあり、不正防止につながる取り組みが欠かせません。

関連記事:アビタス CFE「不正会計とは?事例を基に種類や発生原因、効果的な対策まで解説」

コンプライアンス違反の事例「労働環境」

長時間労働・過労・パワハラなどの劣悪な労働環境がコンプライアンス違反を引き起こすケースも多く見られます。

具体的な事例として、次のようなものがあります。

  • 事例(1)パワハラ
  • 事例(2)過労死
  • 事例(3)サービス残業
  • 事例(4)不適切なSNS利用

場合によっては社会問題として社名を挙げて報道されることがあり、企業の信頼性の低下や売上の低下にもつながります。

一方で、労働環境を整備し良好な状態にすれば、従業員のモチベーションや生産性向上につながり、優秀な人材の確保と定着が見込めます。

事例(1)パワハラ

時間外労働に加え、上司の執拗な叱責が起因していることが労働災害であると認められた例があります。

業務に起因して出血性脳梗塞を発症したケースでは、時間外労働が発症の半年前から徐々に増加しており、発症1カ月前は80時間近くに達していました。

このような肉体的疲労に加え、上司は2時間を超えて立たせたまま𠮟責などを行っています。上司による頻繁かつ執拗で異常なほどの叱責によるストレスが疾病の要因と裁判で認められました。

パワハラを防止するには、社内ルールを明確にし、従業員教育を行う必要があります。また、相談窓口の設置や調査など、現状の実態を把握することも大切です。

事例(2)過労死

大手企業で長時間にわたる残業を恒常的に行っていた従業員がうつ病にかかり自殺したケースもあります。

従業員は36協定で認められた残業上限前後の時間を申告していました。しかし、実際の残業時間はそれを大幅に越えており、徹夜をすることもある状態でした。

過労死を防止するには、従業員の正確な労働時間を把握し、長時間労働を禁じる必要があります。

事例(3)サービス残業

ある企業の複数の支店で、実際の勤務時間と比べ、勤務管理表の勤務時間が過少申告されていた事例がありました。

これは、朝礼時間や1日30分以内の残業を時間外労働と認めていなかったことなどが原因です。

社内全体でサービス残業が当たり前になっている場合は、改めて就業規則を見直し、勤務時間の誤認を生まないようにしましょう。また、役員や管理職、従業員に対する意識改革につながるような教育も必要です。

事例(4)不適切なSNS利用

従業員による不適切なSNS利用が問題となるケースも多く見られます。

差別的な発言や機密情報の漏えいなど、従業員が不適切な書き込みをし、炎上することがあります。また、アルバイトが仕事中に不適切な行為を行い、写真をSNSにアップしたことで大きな問題に発展した事例もありました。

不適切なSNS利用は、企業イメージの失墜のみならず、人権侵害、情報漏えいなど深刻な問題につながることがあります。

SNSを発端とするコンプライアンス違反を予防するには、SNSに関する就業規則を整備し、従業員への研修や教育を通じた注意喚起が必要です。

また、企業アカウントのみではなく、個人としてSNSを利用する場合においても「会社の機密情報について投稿しない」などの利用のガイドラインを設けるなどの工夫も重要です。

コンプライアンス違反が起こる3つの原因

社内のコンプライアンス違反を防止するためには、その原因について知る必要があります。コンプライアンス違反が起きる主な原因として次の3つが挙げられます。

  • 「不正のトライアングル」の発生
  • コンプライアンスや法律への知識不足
  • 従業員のモラルや規範意識の不足

これらの原因について、1つずつ詳しく見ていきましょう。

「不正のトライアングル」の発生

「不正のトライアングル」では、「機会」「動機」「正当化」の3要素がそろった時に、不正が発生するといわれています。

それぞれの概要は次の通りです。

要素 概要
機会 不正を行う手段や環境が整った状況
動機 借金や浪費癖、プレッシャー、ミスの隠ぺいなどの内的誘因
正当化 「他の人もやっている」など、不正行為を合理化する思考

例えば、「労働環境を整えて機会を減らす」「コンプライアンス教育により正当化を阻止する」など、3要素のいずれかが発生する原因を防止することが、不正防止につながります。

関連記事:アビタス CFE「不正のトライアングルとは?基本理論や事例、防止策について解説」

コンプライアンスや法律への知識不足

コンプライアンス違反が起きる原因の1つは、コンプライアンスや法律への知識不足です。

例えば、労働基準法の理解不足から、長時間労働や賃金不払いが生じることがあります。

会社法や税法の知識不足が、不正会計や不適切会計につながることもあるでしょう。また、個人情報保護法の認識不足で、予期せぬ情報漏えいが起きることもあります。

こうした違反を防止するためには、企業としてコンプライアンスや関連法令を正しく理解することが欠かせません。ガイドラインの作成やコンプライアンス研修の実施など、従業員の教育体制の整備が大切です。

従業員のモラルや規範意識の不足

従業員のモラルや規範意識の不足も、コンプライアンス違反が起きる原因の1つです。コンプライアンスを遵守するには、法令遵守に加え、社会的な規範やモラル、倫理観を従業員一人ひとりが身につけることが欠かせません。

モラルや倫理観が低いと、ハラスメントの発生、サービス残業の当然視、顧客情報の取り扱いの軽視、SNSへの不適切な投稿などの要因になります。

組織全体のモラルが低いと、「上司の指示なら何でも従う」「業績至上主義だから違法行為を行う」といった事態が発生することもあります。

この状況を防ぐためには、企業倫理の徹底やコンプライアンス教育を通じた規範意識の向上が不可欠です。

まずは無料の説明会にご参加ください。

コンプライアンス違反発覚によって考えられるリスク

従業員などによるコンプライアンス違反が起きてしまえば、それまで築き上げてきた企業のブランドイメージが一瞬で悪化することもあります。

結果として顧客離れや不買運動が起き、売上低下につながることもあるでしょう。

また、多額の損害賠償を請求され金銭的な打撃を受けるケースもあります。上場企業の場合は、不正や不祥事の発覚による株価下落も懸念しなければなりません。

従業員教育の徹底、就業規則の変更、企業風土の改善などを行い、コンプライアンス違反を未然に防ぐことは非常に大切です。

コンプライアンス違反を防止する3つの対策法

コンプライアンス違反を防止するには、従業員教育や監視体制の構築が欠かせません。特に重要な対策として次の3つが挙げられます。

  • ガイドラインやルールの設定
  • コンプライアンス研修の実施
  • 適切な監督・監視体制の構築

詳しく見ていきましょう。

ガイドラインやルールの設定

コンプライアンス違反を防止するには、明確にガイドラインやルールを設定することが重要です。ただし、形骸化すると本来の目的が果たせないため注意しましょう。

設定したガイドラインやルールを従業員に浸透させ社風として根付かせるには、周知や実践、教育などの取り組みが欠かせません。

特に、経営層がパワハラや不正を行っていると、従業員に対して悪影響を与えます。企業のモラルが低下すると、顧客を含め他者から悪い評価を受けることにもつながります。

経営層が意識的にガイドラインやルールに取り組む姿勢を見せることで、不正を許さないという組織風土が根付くきっかけとなります。

コンプライアンス研修の実施

コンプライアンス違反を防止するには、従業員全体のコンプライアンスに関する意識向上が欠かせません。そのためには、定期的なコンプライアンス研修が有効です。

法律や一般常識など、コンプライアンスに必要な知識は時代に合わせて変化します。定期的に研修を行うだけでなく、研修内容を適宜見直すことが大切です。専門性の向上や客観的な視点を得るために、外部講師による研修を検討するのも方法の1つです。

また、企業を牽引するマネジメント層やリーダー層には、一般社員よりも高い倫理観と遵法精神が求められます。必要に応じて、一般社員より高度なカリキュラムの研修を実施しましょう。

適切な監督・監視体制の構築

適切な監督や監視体制の構築は、コンプライアンス違反を未然に防ぐために役立ちます。

例えば、不正な情報アクセスや改ざんを防ぐため、ITシステム管理体制を強化することや定期的な内部監査の実施、監視カメラの導入などが考えられます。コンプライアンスに関する相談窓口の設置や内部通報制度の導入も有効です。

ただし、監視体制を強化しすぎて、従業員のプライバシーを不当に侵害することは許されません。監視のストレスで従業員の士気が下がることもあり得ます。

監視体制を導入する際は、プライバシーへの過度な干渉を避けるためにも、従業員に対し事前に十分な説明を行うことが大切です。

また、組織内に公認不正検査士(CFE)資格取得者を採用することも、適切な監督・監視体制の構築に役立ちます。

関連ページ:アビタス CFE「CFE(公認不正検査士)とは? 資格の概要や魅力について解説」

公認不正検査士(CFE)資格の取得によって不正対策強化がしやすくなる

社内でコンプライアンス違反が生じると、信用低下や売上減少、場合によっては倒産など、深刻な問題が生じるケースも少なくありません。

社内でコンプライアンス違反を防止する方法の1つとして、公認不正検査士(CFE)の採用が挙げられます。

公認不正検査士(CFE)は、不正の防止・発見・抑止に関する専門家であることを示す国際的な資格です。企業内の不正が「なぜ」「どのようにして」起こるのかを把握し、リスクの評価や対応を行います。

従業員に公認不正検査士(CFE)の資格取得を推奨することも、社内の不正対策強化やコンプライアンス違反の防止につながります。

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