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  • 2024/12/19公開

内部監査人の「倫理と専門職の気質」とは? 誠実性や客観性など5原則を解説

内部監査人の「倫理と専門職の気質」とは? 誠実性や客観性など5原則を解説

内部監査人協会(IIA)は、内部監査の指針として「グローバル内部監査基準」を公表しています。その中のドメイン(領域)の1つとして、「倫理と専門職の気質」が存在します。

本記事では、このドメイン(領域)について詳しく解説していきますので、ぜひ参考にしてください。

※本記事は、内部監査人協会(IIA)の「グローバル内部監査基準」に記載されている内容をもとに解説しています。

参照:内部監査人協会(IIA)「グローバル内部監査基準™︎」

目次
「倫理と専門職の気質」にある5原則
原則1「誠実性の発揮」
原則2「客観性の維持」
原則3「専門的能力の発揮」
原則4「専門職としての正当な注意の発揮」
原則5「秘密の保持」
内部監査人には倫理や専門職としての心構えが必要

「倫理と専門職の気質」にある5原則

グローバル内部監査基準には、「倫理と専門職の気質」というドメイン(領域)があります。

これは、IIAの旧「倫理綱要」にあたるものとされており、主に内部監査人の心構えを示しています。具体的には、下記の5原則が掲げられています。

  1. 1. 「誠実性の発揮」
  2. 2. 「客観性の維持」
  3. 3. 「専門的能力の発揮」
  4. 4. 「専門職としての正当な注意の発揮」
  5. 5. 「秘密の保持」

ここからは、各内容について1つずつ詳しく説明していきます。

まずは無料の説明会にご参加ください。

原則1「誠実性の発揮」

内部監査人には、自らの仕事と行動において誠実性を実践によって示すことが求められます。

「誠実性」とは、道徳や倫理を遵守する行為であり、内部監査を行うために不可欠な要素といえるでしょう。

ここでは、原則1の要求事項3点について解説します。内容の理解のためにも、1つずつ詳細をおさえておきましょう。

正直さと専門職としての勇気

内部監査人は、正直に、かつ専門職としての勇気をもって業務を遂行しなければなりません。

関係者とのコミュニケーションを進めるにあたって、正直、正確、明瞭、率直であるだけでなく、敬意をもったうえで適切な行動をとる必要があります。

また、倫理に関する継続的な教育を受けることで、その意識や理解を向上できるとされています。職場の訓練・指導などをとおして、必要なコミュニケーションスキルなどを学ぶことができれば、実際の現場においても役立つでしょう。

倫理に関して企業が期待する事項

企業の倫理に対する期待事項は、行動規範、倫理規範などに反映し、文書化されます。内部監査人には、この内容を理解・尊重し、貢献することが求められます。

加えて、倫理に基づく文化の奨励・促進をする必要もあります。また、期待事項と矛盾する行動を識別し、適切に報告しなければなりません。

このような方針は、企業の目標およびプロセスと共に、倫理的な文化の礎ともなります。

適法かつ倫理的な行動

内部監査人は、以下のような行為や活動について関与してはならないとされています。

  • 違法行為
  • 企業や内部監査の専門職の信用を失墜させる活動
  • 企業や従業員に損害を与える可能性のある活動

当然ですが、これらの当事者となることも認められていません。

こうした行為や活動への関与などを避けるためには、企業が属する業界などに関連した法令および規制への理解と遵守が求められます。

なお、違反行為を識別した場合には、適切な措置をとる権限を持つ個人や機関への報告を行います。

原則2「客観性の維持」

内部監査人は、内部監査業務の実施や意思決定において、公正不変な姿勢を保つことが求められます。

ここでの「客観性」の定義は以下のとおりです。

“客観性とは、内部監査人が専門職としての判断を行い、その責任を果たし、内部監査の目的を妥協なく達成するための公正不偏な精神的態度のこと”

なお、客観性の維持のために、内部監査部門を独立した位置づけにすることも重要です。

ここでは、原則2の要求事項の3点について、それぞれの詳細を解説します。

個人の客観性

内部監査人は、内部監査業務のあらゆる局面で、専門職としての客観性を維持しなければなりません。この実現のためには、内部監査人が公正不偏な考え方を適用し、あらゆる状況において、偏りのない評価に基づいた判断をすることが必要です。

ただし、人間である以上、どうしても思い込みや誤解、間違いの見落としなどが起きることがあります。こうした人間の傾向は「偏見(バイアス)」とも呼ばれています。

内部監査人は、こうした潜在的な偏見についてもあらかじめ理解し、対処する必要があることも覚えておきましょう。

客観性の防御

内部監査人は客観性が侵害されるような行動や事柄を理解し、必要に応じて回避や低減などを行わなければなりません。

具体的には、以下の事柄に留意したほうがよいでしょう。

  • 贈答品、報酬、便宜など客観性を侵害すると考えられる有形・無形のものを受け取る行為
  • 利益相反行為、権限者を含む他人の利益や政治的環境からの不当な影響
  • 自身が過去に責任を有していた業務への評価

過去に担当していた活動へのアドバイザリー業務を行う場合は、事前に潜在的な侵害を依頼者に開示することも必要です。

加えて、内部監査部門長の取り組みも重要とされており、一例を挙げると、個人の客観性が管理されるような監査資源の割り当てなどが必要とされています。

客観性に対する侵害の開示

内部監査人は、客観性が事実として侵害されている場合や、自身の客観性に影響を及ぼす可能性がある侵害を認識した場合、内部監査部門長や監査監督者へ、迅速な開示を行う必要があります。

内部監査部門長は、侵害が内部監査業務に影響を及ぼしていると判断した場合、被監査部署の責任者、取締役会や最高経営者などと協議しなければなりません。その際に、状況を解決するための適切な措置を決定することも求められます。

客観性に対する侵害を回避できない場合、内部監査部門長は内部監査人の再配置や、内部監査業務の範囲の調整、日程の再設定などを行います。

原則3「専門的能力の発揮」

内部監査人は、自らの役割と責任をうまく果たすために、知識やスキル、能力を開発し、適用していく必要があります。

ここからは、原則3で掲げられている要求事項2点について、その内容を解説していきます。

専門的能力

内部監査人が職務を成功させるために開発すべき専門的能力の例としては、以下が挙げられます。

  • コミュニケーションや協働
  • ガバナンス、リスク・マネジメント、コントロールにおける各プロセス
  • 財務管理や情報技術などのビジネス機能
  • 不正などのリスク
  • データ収集・分析・評価のためのツールやテクニック

上記はあくまで一例ですが、幅広い知識やスキルが必要とされていることを覚えておきましょう。

継続的な専門的能力の開発

内部監査人は、自らの専門的能力を維持し、継続的に開発しなければなりません。開発方法の例としては、自己学習やOJT、指導を受けるといったことが挙げられます。

なお、CIA(公認内部監査人)などの専門職資格を取得している場合、資格に適用される要求事項を満たさなければなりません。満たしていない場合、資格の使用が許可されない可能性もあります。

原則4「専門職としての正当な注意の発揮」

内部監査人は、内部監査業務の計画策定及び実施において、専門職としての正当な注意を払わなければなりません。

その実現のためには、内部監査人の勤勉さや判断力、懐疑心をもった内部監査業務の計画・実施が欠かせません。

ここでは、具体的になすべきことの理解として、要求事項とされる3点を見ていきましょう。

グローバル内部監査基準への適合

内部監査人は、グローバル内部監査基準に従って内部監査業務を計画し、実施しなければなりません。

内部監査部門の手法も、グローバル内部監査基準に沿って確立、文書化、維持される必要があります。計画・実施の段階や、結果を共有する場合においても同様にグローバル内部監査基準に従います。

なお、内部監査人がグローバル内部基準への適合ができていない場合、内部監査部門長はその状況の説明を行います。それだけでなく、取られた代替措置や当該措置への影響、その根拠についても文書化し、コミュニケーションを図る必要があります。

専門職としての正当な注意

内部監査人は、提供する業務の性質、状況及び要求事項を評価し、専門職としての正当な注意を払わなければなりません。

なお、注意を払うべき具体例としては、企業の戦略や目標、ガバナンス、リスク・マネジメントおよびコントロールの各プロセスの妥当性と有効性などが挙げられています。

このほかにも注意を払うべき内容の記載があるため、よくチェックしておきましょう。

専門職としての懐疑心

内部監査人は、内部監査業務を計画・実施する際に、専門職としての懐疑心を働かせなければなりません。ここでいう懐疑心とは、以下のように定義されています。

”発言や情報の妥当性や真実性を常に確認し、疑ってみる姿勢のこと”

なお、内部監査人が専門職としての懐疑心を働かせるためには、次のようなことが必要です。

  • 探求心を持ち続けること
  • 情報の信頼性を批判的に評価すること
  • 矛盾した情報に判断を下すための証拠を求めること

また、情報の妥当性や真実性を確認するための追加分析・検証も含まれます。

原則5「秘密の保持」

内部監査業務はその性質上、重要かつ秘密性の高い情報を扱うことが多いとされています。

そのため、これらの情報が監査業務以外に利用されることがないよう、情報を適切に利用し、保護することが内部監査人には求められます。

ここでは、利用や保護における具体的な内容を見ていきましょう。

情報の利用

内部監査人が情報を利用する際には、関連方針・手続き・法令および規則に従わなければなりません。また、個人的な利益のために、組織体の適法かつ倫理的な目的に反するような使用をしてはなりません。

なお、個人データなどの情報を扱う場合には、パスワードや暗号化といった適切なデジタルセキュリティ対策の適用が内部監査部門に求められることも覚えておきましょう。

情報の保護

内部監査人は情報保護の責任を認識したうえで、業務の実施などによって取得した情報の秘密性やプライバシー、所有権についての尊重を示さなくてはなりません。

そのためには、組織体と内部監査部門に適用される秘密保持などに関する方針や手続きを理解する必要があります。また、情報プライバシーや情報セキュリティに関する法令や規制に関する理解・遵守も欠かせません。

加えて、内部監査部門として考慮すべき事項として、以下の内容も掲げられています。

  • 個々の内部監査業務の記録の保管、保存及び廃棄
  • 社内外の関係者への個々の内部監査業務の記録の公開
  • 不要になった秘密情報の取り扱い、アクセス又はコピー

このような情報の保護の徹底も、内部監査において欠かせない要素の1つです。

内部監査人には倫理や専門職としての心構えが必要

本記事では、グローバル内部監査基準における「倫理と専門職としての気質」のドメイン(領域)の内容について解説しました。

内部監査人には、高い倫理観と高度な専門性が求められます。適切な業務の遂行を実現するためにも、本ドメイン(領域)をしっかりと理解し、内部監査人として正しい心構えや専門知識を習得しましょう。

なお、グローバル内部監査基準をはじめとする内部監査人としての専門知識を習得するためには、アビタスのCIAプログラムの受講も選択肢の1つです。

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