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世界情勢が目まぐるしく変化し続けている影響で、あらゆる場面でエマージングリスクが発生しています。エマージングリスクは今やどの業界でも起こりうるリスクであり、内部監査部門を筆頭に各企業が適切に対応する必要があります。
本記事では、エマージングリスクの概要についてとリスクアセスメントから対応に至るまでの手順などについて分かりやすく解説します。エマージングリスクについて理解を深めたい方は、是非とも参考にしてください。
目次
エマージングリスクとは?
エマージングリスクについて
エマージングリスクアセスメント
エマージングリスク対応
エマージングリスクに深く関連する業界
エマージングリスクを一言で表すと、今まで想定していなかったリスクまたは発生の可能性が極めて低いリスク、環境変化などで今後影響が高いと判断されるリスクをいいます。
エマージングリスクは、新興リスクとも呼ばれており、例えば、技術革新、社会、環境など、様々な外部環境において発生しますが、分かりやすい例として、コロナウイルスなどのパンデミックやロシア・ウクライナ戦争などが該当します。エマージングリスクが顕在化した状態になると、社会全体に多大な影響が発生します。上記の例で挙げたコロナウイルスやロシア・ウクライナ戦争の場合ですと、仮に予測することができても、自社を脅かす影響度が高いため、慎重に対応しなければなりません。
エマージングリスクになりうるものを完全に解決することは不可能といえますが、最大限エマージングリスクに対処することは可能です。大切なのは、エマージングリスクを適切にアセスメントし、最も被害が少ない形で対応することです。エマージングリスクへの対応を疎かにすると、会社の経営に甚大な影響が発生し、最悪の場合、倒産リスクなども発生してしまうため、重要度は高いです。
エマージングリスクにおいて最も大切なのは、「早期発見」と「対応」です。エマージングリスクによって起きる被害というのは、主に想定外のものばかりですので、トレンドや統計データなどからいち早く予測し、エマージング・リスクの早期発見と対策を検討する必要があります。
エマージング・リスクを早期発見するためには、まず関連する情報を収集することです。IoTなどを活用することで、より詳細なデータを集めることができます。そして、集めたデータを解析し、エマージングリスクにつながる予兆を早期に発見します。早期に発見することができれば、できるだけ被害を最小限にするために対応が可能となります。対応については、「エマージングリスク対応」で具体的に解説します。
エマージングリスクについてご理解いただいたところで、次はエマージングリスクのアセスメントについて解説します。今回解説するアセスメントについては、あくまで1つの方法論であり、業界特有の内容などは完全に考慮できない点について、ご留意ください。
エマージングリスクのアセスメントを行う上では、ERMを活用することをお勧めします。
参照:ERMとは?必要性や実施の基本ステップ、よくある課題と対処法を解説|アビタスコラム
まずは、エマージングリスクを早期に特定するところから始まります。この段階でやるべきことが大きく2点ございます。
1点目は、「全社的なリスクを洗い出しと過去の事象の見直し」です。エマージングリスクは会社の経営に甚大な影響を及ぼすことから、全社的なリスク管理が必要となります。また、過去の事象からエマージングリスクを特定できることもございますので、対象範囲は広い方が望ましいです。
2点目は、「トレンドの把握とそれに伴うエマージングリスクの測定」です。トランスフォーメーションなどの技術革新やSDGsなどから、エマージングリスクになりうる要素を把握し、測定することで先んじてエマージングリスクを特定することも可能なので、これらを活用します。
次は、特定できたエマージングリスクを分析します。エマージングリスクの分析については、基本的に従来のリスク分析と同じように行うと良いです。
具体的にどのように分析するかというと、様々な基準を設け、それらと照らし合わせ、リスクレベルを決定することです。例えば、特定できたエマージングリスクについて、発生する可能性が高いか低いか。顕在化した時にどのような影響や損害が起きるのかなどの基準を設けてリスクレベルを決定すると良いでしょう。
リスク評価についても、基本的には従来のリスク評価と同様にリスク分析による発生可能性や影響度の大きさなどを基に、どのエマージングリスクを優先的に対応すべきか評価します。
但し、エマージングリスクの場合、発生可能性よりも影響度の大きさを重視してリスク評価することをお勧めします。その理由として、エマージングリスク分析による発生可能性については、対象が主に技術革新や社会や経済などであるため、厳密に測定することは通常のリスクと比較して困難であるからです。一方、影響度の大きさについては、常に保守的に見積もることができますので、それに合わせて予防策を強化することが可能です。
エマージングリスクの中で、顕在化することで会社の経営に甚大な影響を与えると評価できるものは優先的に対応策を講じた方が良いでしょう。
エマージングリスクの評価が完了したら、どのように対応するか決定します。ここも基本的には、従来のリスク対応方法と同じように「回避」「低減」「移転」「受容」の中から決定します。
エマージングリスクの場合、基本的に回避・受容・移転となることは少なく、低減対応が多くなります。その理由として、例えば、コロナウイルスのようなパンデミックの場合、空気感染してしまう可能性は完全に回避できず、第三者に移転することも困難であれば、受容することもできません。一方、在宅勤務などで人との接触を避けながら会社運営を維持させたり、社内でマスクの着用やアルコール消毒を義務付けるなどによる低減は可能であるため、低減策による対応は多く求められます。
参照:リスク管理とは?4つの対応方法やフレームワーク、役立つ資格を解説|アビタスコラム
エマージングリスクに深く関連する代表的な業界として、保険業界がございます。保険業界は主にエマージングリスクに対する保険商品化に努めることが主な業務であるため、他の業界よりもエマージングリスクについて分析することが多いです。ただ、エマージングリスクは予測できないものが多いため、適切な保険商品を開発することは難しくなりつつあります。
保険会社としては、エマージングリスクを新たにカバーする保険商品の開発が期待されている一方で、既存保険商品でカバーしてしまっているエマージング・リスクが存在することに留意しなければならず、エマージングリスクに応じた保険商品のバランスを調整することが求められます。
参照:近時のエマージング・リスクに 保険会社はどう向き合うべきか
エマージングリスクの主な対応が低減であるならば、その方法は無数にございます。もし、読者が内部監査部門やリスク管理部門に属しているならば、エマージングリスクに関する情報は常に収集し、会社が全社的にいつでも低減策を講じることができるよう助言し、行動を促すことが必要です。これはすぐに実現できるものではありませんが、いつでも低減策を講じることができる組織体制の形成こそがエマージングリスクに負けない組織への第一歩となります。
まずは社内の従業員にエマージングリスクについて認識させるところから始めると良いでしょう。本記事がエマージングリスクについて、参考になれば幸いです。
最後までお読みいただきありがとうございました。
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