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  • 2024/09/03公開

AIは内部監査でどう役に立つ?現役CIAが解説

AIは内部監査でどう役に立つ?現役CIAが解説

昨今、情報化社会に欠かせない技術としてAIがあります。

AIといえば、第5次産業革命(インダストリー5.0)でも重要なテーマとなっており、AI、IoT、ビッグデータなどを活用することで、持続可能な産業構造に変革をもたらすと言われています。故に、AIは今後ますます発展していくことが予想されます。

では、内部監査において、AIはどのように活用することができるのでしょうか。本記事では、AIが内部監査でどう役に立つのか。AIを活用するメリットやデメリットなどを中心に解説します。AIについて理解を深めたい方や内部監査にAIを取り入れたい方は、是非とも参考にしてください。

目次
そもそもAIとは?
AIについて
内部監査でAIを活用するメリット
内部監査でAIを活用するデメリット
AIに強い内部監査人を目指そう

そもそもAIとは?

AIとは、人工知能のことで、Artificial Intelligenceの略となります。AIに関する確立した定義はありませんが、AIという言葉の生みの親であるジョン・マッカーシー教授によると、AIとは「知的な機械、特に、知的なコンピュータプログラムを作る科学と技術」と説明されています。

AIに関連する用語としては、主に「機械学習」「ニューラルネットワーク」「ディープラーニング」などがあります。

機械学習とは、大量のデータをもとにAIが自ら学習し、予測や分類の作業を実行するモデル・アルゴリズムを自動的に形成できる技術のことです。機械学習の方法は、主に「教師あり学習」「教師なし学習」「強化学習」の3種類に分けられます。これらの機械学習は、画像に写っている人物の顔を判別できる認証機能や、過去のデータに基づいた株価の将来予測などで活用されています。

ニューラルネットワークとは、人間の脳神経の仕組みのような機械学習アルゴリズムです。脳の回路に似た形のユニットで構成されており、「入力層」「中間層」「出力層」の3層で構成されています。そんな3層のうちの「中間層」を深くしたものがディープラーニングです。

ディープラーニングとは、膨大な量のデータを学習し、共通点を自動で抽出していくことによって、状況に応じた柔軟な判断を下すことが可能になる機械学習技術です。ディープラーニングは、ニューラルネットワークをさらに発展させたものであり、従来の機械学習よりも高精度な分析を行うことができます。ディープラーニングを活用した具体例としては、画像の自動認識・自動生成や、自動運転などの作業支援、創作物の作成などです。

参照:総務省|令和元年版 情報通信白書|AIに関する基本的な仕組み

AIについて

AIの大きな特徴は、「自律性」と「適応性」が備わっているということです。

「自律性」とは、人間が指示を出さなくとも作業を遂行できる能力のことです。つまり、AIに細かい指示は不要となります。

「適応性」とは、ラーニングした学習内容や今まで経験した内容をもとに能力をアップできる能力のことです。つまり、AIは過去の学習や経験で成長することができます。

自律性と適応性が備わっているAIは、家電を制御するプログラムや自動運転など、さまざまな場面で活用されています。では、内部監査において、AIはどのように活用することができるのでしょうか。AIを使った監査について解説します。

参照:AI・人工知能とは?定義・歴史・種類・仕組みから事例まで徹底解説 | DXを推進するAIポータルメディア「AIsmiley」

まずは無料の説明会にご参加ください。

内部監査でAIを活用するメリット

内部監査でAIを活用するメリットは複数ありますが、特にメリットと言えるものとして、大きく3点存在あります。どれも監査品質の向上に繋がるだけでなく、監査資源を最小限に抑えることも可能となりますので、AIの活用は汎用性が高いといえます。

参照:AIを活用した監査リスク管理の事例

効率性の向上

1点目のメリットは、AIを活用することで、監査人が実施する作業の効率性が上がる点です。具体的には、監査対象データサンプルの収集・突合といった、特に繰り返し行われる作業で役に立ちます。

これらの作業については、AIを活用することで、工数を削減することが可能です。そうなると、監査資源に余裕が生まれ、監査対象範囲の拡大、高度な分析・判断に集中することができ、間接的に監査品質の向上に寄与することができます。

特に、DX促進を図る企業に在籍しているなら、監査にAIを取り入れるべきと言えます。

新たな知見の発見

2点目のメリットは、AIを活用することで、監査人が容易に気付くことのできない新たな知見を見つけることができる点です。具体的には、AIを活用することで、従来のやり方では発見できなかったリスクを見つけることができたり、異常値を検知できるようになったりなど、さまざまな場面で新たな知見を発見することができるようになり、監査品質を向上させることができます。

データ分析に基づく予測精度の向上

3点目のメリットは、AIを活用することで、データ分析に基づく予測精度が向上する点です。具体的には、AIの特徴である自律性と適応性を活かし、過去のデータをAIに学習させ、その結果をもとに将来何が起こるか予測することが可能であるため、この一連の行為を監査で適用させます。

このメリットは、データ分析により認識したリスクを起点として行うデータドリブン監査の実行を行う際に最も役に立ち、監査人の属人性を排除することができます。

内部監査でAIを活用するデメリット

ここまでは内部監査でAIを活用するメリットについて解説しましたが、次は内部監査でAIを活用するデメリットについて解説します。

デメリットも複数存在しますが、特にデメリットと言えるものとして、様々な要因が相互に絡まり合い、AI監査の実現を難しくさせていることが挙げられます。その要因とは、主に「制度的要因」「技術的要因」「社会的要因」です。これらが全てクリアできないと、十分なAI監査の実現は困難であると言えます。

参照:AIガバナンスに資する AI監査の実践に向けて

制度的要因

まず1つ目の要因は、「制度的要因」によるものです。AI監査を行う上では、AI原則、AIに関する関連指針やガイドラインなどを社内で確立させる必要があります。

また、AI原則や関連指針などを確立させていく上では、AI監査の立証命題である「公平性」「透明性」「安全性」「セキュリティ」「プライバシー」に沿った内容にしなければならず、AIについての共通認識をブレさせないようにしなければなりません。これを怠ってしまうと、AI監査で準拠性を保証することができなくなります。

特に、初めてAIを導入する会社の場合、既存の基準やルールだけではAIに関する内容を完全にカバーすることができませんので、AIに関連した基準やルールに変更するだけでも相当の時間がかかってしまいます。

AIを汎用的に活用するためには、情報システム部門との連携は必要不可欠です。 どこまでの技術なら実現可能で、制度として構築することができるか話し合う必要があります。その際、内部監査の独立性に影響が出ないよう、AI監査における適切なアクセス権限を設けるなどの体制構築も忘れないようにしましょう。

技術的要因

2つ目の要因は、「技術的要因」によるものです。監査にAIを活用する上では、AI自体の監査も必要となります。

例えば、AIサービスやシステム全体の監査やAIサービスやシステムを提供する組織が実施する内部統制の監査などです。その範囲は会社によって異なりますが、基本的には、全社対象の広範な統制活動から個別業務での統制活動まで監査していくべきです。となると、それに合わせた監査資源の確保とAIに関する専門的要件を満たした監査人が必要不可欠であり、自社の内部監査人を教育するか、アウトソーシングしなければなりません。

ただ、実際問題として、自社の内部監査人を教育するには多くの時間がかかってしまうため、基本的にはアウトソーシングすることが多いですが、費用対効果に合ったものでなければ、監査資源を無駄に使用してしまう可能性があります。

監査資源を考慮するなら、理想的なのはやはり自社の内部監査人を教育することですが、上記で解説した通り、AI自体の監査はいきなりすぐできるものではないため、中長期的にAI監査に対応した内部監査人の教育を施していくことが大切です。今はAIを活用していなくても、今後AIを活用する可能性があるならば、早期段階でAI自体の監査ができるような教育体制を設けるべきです。

社会的要因

3つ目の要因は、「社会的要因」によるものです。AIは社会的な関心が高いジャンルのものであるため、AI監査で保証される内容については、世間一般の期待と実際の監査結果に大きな期待ギャップが発生する可能性があります。

また、AI監査実施のためのハードルや監査実施者の法的責任を加味すると、監査にかかる労力や責任と監査報酬とのバランスが取れず、外部監査人が監査を実施するインセンティブが乏しくなる可能性もあります。

さらに、AI監査を必須とするような法的拘束力を有する規制や罰則が仮に乏しければ、被監査企業側でも監査を受けるインセンティブが働かない可能性もあり、悪影響を及ぼします。こうしたAI監査に対する需要と供給がアンバランスな状態であることを理解した上で、AI監査を有効性のあるものにしなければなりません。

AIに強い内部監査人を目指そう

AIは今後ますます発展していくことが予想されますが、それに伴って、AI関係に強い内部監査人を目指すことは大変価値があります。

まずは、AIに関するリスクにはどのようなものがあるか。どのような統制が有効かなどを一度分析してみることから始めると良いでしょう。本記事が、何か1つでも参考になれば幸いです。最後までお読みいただきありがとうございました。

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アビタスでは2005年にCIAプログラムを開講して以来、圧倒的な合格実績を挙げ続けています。合格率を上げるために、オリジナル教材と講師の質の良さにこだわっています。

講師は対法人向けの内部監査の実務研修も行っており、専門分野の知識だけでなく、ティーチングスキルにも優れているのが魅力です。

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