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社会人であれば、どのような業界に属していても「CSR」という言葉を一度は聞いたことがあるかと思います。CSRに関連する活動は多岐にわたるため、会社の文化や業界などによってCSR活動の中身は大きく異なります。故に、CSR監査は難しくなることが多いです。
もし、内部監査部門がCSR監査において、どこまでのCSR活動をアシュアランス、コンサルティングすべきかを明確にしない場合、監査品質に悪影響が発生する可能性が生まれます。そうならないためにも、CSR監査を計画する際は、そもそもCSR監査とはどのような監査で、どのように行うべきなのかを理解しておかなければなりません。
本記事では、CSR監査の概要、意義、実際の流れなどについて具体的に解説します。また、CSR監査のコンサルティング業務に役立つツールについても合わせて解説しますので、CSR監査について理解を深めたい方やCSR監査を検討している方は、是非とも参考にしてください。
目次
そもそもCSRとは何か?
CSR監査について
CSR監査の意義
CSR監査の流れ
CSR活動で活用できるツール
CSR監査で企業価値を向上させよう
CSRとは、透明かつ倫理的な行動を通じて、社内の意思決定や事業活動が、社会及び環境に及ぼす影響に対する企業の責任という意味で、企業の社会的責任とも訳されます。
このCSRの定義に則ると、企業はただ利益を追求するだけではなく、社会・健康などの持続可能性を達成させるための課題への対応、環境や人権などへの配慮も企業活動に組み込むべきであると解釈でき、この定義に関連したCSR活動というのは、ステークホルダーの様々な関心を企業活動に組み込むことを表します。
CSR活動を実施することで、企業価値が向上し、社会貢献にも大きく寄与することができるなどのメリットがありますが、CSR活動を実施するための人手を増やし、基幹事業とは別の活動として行う必要性が出てくることもありますので、結果として、コストが増加してしまうなどのデメリットもあります。
デメリットはあるものの、CSR活動を実施する企業は年々増加傾向にあります。そのため、仮に今はCSR活動を行っていない会社でも、いずれはCSR活動を実施する可能性が十分にありますので、CSR監査をいつでも実施できるような体制を構築しておくことが望ましいです。
参照:企業の社会的責任と人権
CSR監査は、サプライヤー監査とも呼ばれます。サプライヤーという名前がある通り、主に取引先などのサプライヤーに関する安全衛生、労働環境、環境などを監査し、法令違反がないか。人権などが脅かされる兆候がないかなどをチェックします。
CSR監査の対象は、主にサプライチェーン上の組織が該当します。そのため、規模が大きい会社やサプライチェーン上のサプライヤーが多い会社などの場合、サプライヤー全体を理解するだけでも困難となり、結果としてCSR監査は中長期的な監査となることが多いです。
監査資源を著しく使用することが予想されるCSR監査ですが、CSR監査を行う意義は明確にあります。次に、CSR監査の意義について解説します。
CSR監査の意義は大きく2点あります。
1点目は「経営者が安心して意見表明できる保証を与えることができる」ということです。
株主や投資家に信頼できる企業情報を開示するためには、それに見合った内部統制が必要となりますが、その企業情報や内部統制の範囲は自社内に留まらず、取引先などのサプライヤーに対する管理情報も含まれるべきであり、監査人がそれらを総合的に保証することで、経営者は安心してステークホルダーに意見表明することができるようになります。このアシュアランス機能は、重要度が高いため、CSR監査の意義と言えるでしょう。
2点目は「外部監査人に対して企業がいかに適切に内部統制を構築しているかを積極的にアピールできる」ということです。
そもそもサプライチェーンを考慮した内部統制を構築することは、自社内だけの内部統制を構築すれば良いというものではありませんので、非常に難しいです。また、サプライヤーの業務内容だけでなく、そのサプライヤーの企業文化や慣習などを理解し、それに準拠した形で内部統制を構築しなければ、内部統制自体が形骸化する可能性もあります。ですが、これらの課題をクリアし、サプライチェーンを考慮した内部統制を構築し、機能させることができれば、企業は外部監査人に対してしっかりとアピールすることができるようになります。これもCSR監査の意義と言えるでしょう。
参照:CIA フォーラム第一部会テーマ:「CSR に貢献する内部監査」
CSR監査の意義についてご理解いただいたところで、次はCSR監査がどのような流れで行われるかについて解説します。CSR監査では、基本的に海外拠点に対して行うことが多いため、今回は海外拠点に対するCSR監査を例に解説します。
今回ご紹介するフローは、あくまで一例であり、企業文化や業界特有の内容などは完全に考慮できない点について、ご留意ください。
参照:海外監査の手引き
事前準備段階では、基本的に監査計画の策定から監査ツールを準備するところまでを行います。ベーシックな内部監査業務の流れと比較して、ビザの準備を行ったり、監査対象部門にロジスティックス関係の資料を事前に提出してもらう点などが特徴となります。
特にロジスティックス関係の資料は、生産から配送に至るまでのフローが明記されていることが多いですが、その資料を基に内部統制の3点セットである業務記述書、フローチャート、RCMを活用し、事前に重大なリスクをピックアップしておくことが望ましいです。
また、海外拠点の監査となりますので、宗教やテロなどの現地固有リスクや海外特有の法規制も考慮する必要があります。それらも事前準備段階で調査し、その結果を実査に反映できると良いです。
参照:J-SOX(内部統制報告制度)の監査対象や必要な3点セットを解説|アビタスコラム
実査段階では、基本的に監査の実施から講評会の実施までを行います。
現地に到着したら、まず最初に現場担当者とのミーティングを行い、具体的な監査の流れについてご説明してから、実査を行うことが多いです。実査では、現場の状況を観察しながら、事前に作成した内部統制の3点セットと照らし合わせつつ、リスクと統制内容を具体的に把握するようにします。海外拠点を監査する場合、見落としがあった際は取り返しがつかないことが多いため、一連の業務プロセスを確認する際はウォークスルー形式で確認を行うことが望ましいです。
実査が終了したら、現場責任者に対して講評会を行います。講評会では、実査の結果を伝えるだけでなく、指摘項目に対するフォローアップ体制をどのように取ることができるかについても事前に話し合うことが望ましいです。
参照:ウォークスルーの内部統制上の目的や評価手順、内部監査での意義を解説|アビタスコラム
報告・フォローアップ段階では、監査報告書の提出からフォローアップのアクションプラン作成までを行います。
報告については、監査報告書の作成から提出するまでの業務を行いますが、ベーシックな内部監査業務の流れとほとんど同じです。
フォローアップについては、講評会の段階で話し合ったフォローアップ体制をもとに行っていきます。とはいえ、限られた監査資源で海外拠点に再び行く機会は少なく、ZOOMなどによるオンラインミーティングによるフォローアップが主流となることが多いです。
オンラインミーティング形式なので、直接見に行ってフォローアップすることができません。そういった観点では、実査段階よりも現況を細かく把握することができないというデメリットがありますが、一方で、オンラインミーティングであれば、少ない監査資源で効率的にフォローアップを行うことができるというメリットがありますので、オンラインミーティングによるフォローアップは是非とも行っていくべきです。
CSR監査の流れについてご理解いただいたところで、最後にCSR活動で活用できるツールについて解説します。
CSR活動は多岐にわたるため、それに比例して監査範囲も大きくなります。限られた監査資源で、有効的なリスクベースのCSR監査を行う上では、CSRに関連するツールについて監査対象部門に助言し、CSR活動を促進させるケースもあります。この観点から、内部監査人は、CSR活動で活用できるツールについて理解しておかなければなりません。
今回は特にお勧めしたい2点のツールについて解説します。
1点目のツールは、ISO26000です。ISO26000とは、ISOが発行した組織の社会的責任に関する国際規格のフレームワークです。
このフレームワークの特徴を簡単に申し上げると、CSRを実現するための7つの原則を定義し、それらが相互に機能することができるような活動が有効なCSR活動であり、持続可能な社会作りに寄与することができるということを分かりやすく表しています。
例えば、7つの原則の1つである「ステークホルダーの利害の尊重」というのは、サプライヤーに対する内部統制の必要性についても意味として組み込まれていると容易に解釈できます。このような形で原則をベースとして、どのような活動がCSR活動に繋がるかを考えることができる点が強みと言えるフレームワークです。
参照:Social Responsibility ISO 26000 を理解する
2点目のツールは、日本経済団体連合会が作成したCSR促進ツールです。
このツールの特徴を簡単に申し上げると、CSR活動を取り組む上で発生する課題を、日本経団連の「企業行動憲章」と「実行の手引き」を参考としながら、課題分野及びステークホルダーの2つの側面から整理して解釈している点にあります。このツールの中には、CSR主要要素のマトリックスも添付されており、縦軸にコンプライアンスや人権などの各分野を置き、横軸に取引先や株主などのステークホルダーを置いて、当てはめやすくなっています。
参考事例も細かく記載されていますので、活用しやすいツールと言えます。
参照:CSR 推進ツール
CSR監査を行う上では、全てのCSR活動を完全に監査することができないため、どこまでのCSR活動に対してリスクベースで監査を実施するかというところが重要になってきます。
特に、CSR監査の範囲を決める上では、なるべく多くのステークホルダーと意見交換を行うことが大切です。限られた監査資源で最大限の結果をもたらすCSR監査を目指し、企業価値の向上につなげましょう。
本記事が、何か1つでも参考になれば幸いです。最後までお読みいただきありがとうありました。
アビタスでは2005年にCIAプログラムを開講して以来、圧倒的な合格実績を挙げ続けています。合格率を上げるために、オリジナル教材と講師の質の良さにこだわっています。
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