本ウェブサイトでは、Cookieを利用しています。本ウェブサイトを継続してご利用いただく際には、当社のCookieの利用方針に同意いただいたものとみなします。

  • 2025/04/16公開

US-GAAP(米国会計基準)とは? 日本会計基準やIFRSとの違い

US-GAAP(米国会計基準)とは? 日本会計基準やIFRSとの違い

US-GAAP(米国会計基準)は、国際的に認められた会計基準の1つで、アメリカでの財務会計に使用されています。

本記事では、US-GAAP(米国会計基準)の概要やほかの会計基準との違い、日本企業が採用するメリットとデメリットなどを中心に解説していきます。

目次
US-GAAP(米国会計基準)とは
US-GAAP(米国会計基準)の特徴
US-GAAP(米国会計基準)とJ-GAAP(日本会計基準)の違い
US-GAAP(米国会計基準)とIFRS(国際会計基準)の違い
US-GAAP(米国会計基準)を日本企業が採用するメリットとデメリット
US-GAAP(米国会計基準)とIFRS(国際会計基準)のどちらを選ぶべき?
US-GAAP(米国会計基準)の特徴を理解しよう

US-GAAP(米国会計基準)とは

US-GAAP(米国会計基準)とは、米国で「一般に公正妥当と認められた会計基準」のことで、アメリカでの財務会計に使用される会計ルールを示しているものです。

米国証券取引委員会(SEC)から発行されている会計基準とガイダンスで、世界的な会計基準の1つとされています。各企業がUS-GAAP(米国会計基準)によって財務諸表を同じ基準で作成することで、投資家や債権者などが財務状況を比較しやすくなります。

日本の企業でも、米国証券取引委員会(SEC)に登録をしている企業に関しては、US-GAAPに則った財務諸表を公表することが許可されています。しかしながら、導入をしている日本企業は少ないのが現状です。

そもそもGAAPとは

GAAP(Generally Accepted Accounting Principles)とは、企業の会計基準をまとめた規則のことです。一貫性があり、なおかつ透明性の高い財務諸表を作成することで、投資家や債権者などの利害関係者が、財務状況を正確に把握し、適切な投資判断や意思決定ができるようにすることが目的です。

会計基準は各国で独自のものが存在しており、その国の慣行や法令の影響を受けています。日本で承認されている会計基準には以下のものがあります。

  • J-GAAP(日本会計基準)
  • US-GAAP(米国会計基準)
  • IFRS(国際会計基準)
  • J-IFRS/JMIS(修正国際基準)

関連記事:アビタス IFRS「会計基準とは?会計基準の種類や国際会計基準をめぐる国内の動きを解説」

US-GAAP(米国会計基準)の特徴

US-GAAP(米国会計基準)の特徴は、以下のとおりです。

  • 細則主義
  • 資産・負債アプローチ

いずれもUS-GAAP(米国会計基準)を理解する上で重要なポイントとなるため、それぞれ確認していきましょう。

細則主義

US-GAAP(米国会計基準)の特徴として、「細則主義」が採用されている点が挙げられます。細則主義とは、あらかじめ詳細に定められた規則や手順に、厳正に則ることを重視する考え方です。

会計処理にあたり、詳細な規則やルール、ガイドラインを定めることで、企業が財務諸表を作成する際の指示をしているものといえます。基準の適用範囲が広いため、企業が判断できる範囲は狭くなりがちです。

具体的な数値を伴う明確な基準が設けられていますが、規則等に定められていない場合は、イレギュラーな処理も認められています。

なお、細則主義は、J-GAAP(日本会計基準)でも採用されています。

資産・負債アプローチ

US-GAAP(米国会計基準)の2つ目の特徴として、「資産・負債アプローチ」があります。

資産・負債アプローチとは、会計期間の開始時点と終了時点における資産と負債の差額に着目し、その増減に基づいて利益を把握する考え方です。資産や負債の定義を先に決定することが重要とされています。

資産・負債アプローチの反対の概念として、「収益・費用アプローチ」があります。経営活動で得られた収益と、その成果を得るために費やした費用を対応させて、その差額を期間損益として把握する方法です。収益や費用の定義や測定基準が重要になります。

従来は収益・費用アプローチが主流でしたが、産業構造の変化や時代的な背景により、現在は資産・負債アプローチが主流となっています。

関連記事:アビタス IFRS「IFRSの「資産・負債アプローチ」の本当の理由をご存知ですか?」

US-GAAP(米国会計基準)とJ-GAAP(日本会計基準)の違い

J-GAAP(日本会計基準)はUS-GAAP(米国会計基準)を参考に定められているため、類似点があるものの、その「利益の計算方法」については大きな違いがあります。

US-GAAP(米国会計基準)で採用されているのは資産・負債アプローチで、J-GAAP(日本会計基準)で採用されているのは収益・費用アプローチです。こうしたアプローチの違いにより、両者の損益の判断方法は異なることになります。

前章でも触れたように、資産・負債アプローチは資産と負債の差額に基づいて損益を把握する方法です。一方、収益・費用アプローチでは、収益から費用を引いた差額により損益を判断します。

J-GAAP(日本会計基準)で採用されている収益・費用アプローチでは、計上された純利益の分、純資産が増加するという考え方に基づいているため、損益計算書が重視されています。

US-GAAP(米国会計基準)とIFRS(国際会計基準)の違い

US-GAAP(米国会計基準)とIFRS(国際会計基準)の主な違いとして、採用している主義が異なる点が挙げられます。

US-GAAP(米国会計基準)で採用されているのは細則主義であるのに対し、IFRS(国際会計基準)では原則主義が採用されています。

細則主義では、規則やルール、ガイドラインが細かく定められてあるのに対し、原則主義では基本的な原則のみが定められています。

IFRS(国際会計基準)で原則主義が採用されているのは、法体系や商取引上の慣習が国によって異なり、細かく指定すると経営状況を適切に反映できない可能性があるためです。

そのため、原則主義においては、その具体的な解釈や運用は各企業に委ねられています。

これにより経営者は、会計が企業の財務状況に与える影響を的確に把握し、会計基準の基本的な考え方を踏まえながら、自ら明確な基準を設定し財務諸表を作成する責任を負います。

US-GAAP(米国会計基準)を日本企業が採用するメリットとデメリット

ここでは、日本企業のUS-GAAP(米国会計基準)の採用について、以下の2点を解説します。

  • メリット
  • デメリット

採用すべきか検討をしている場合は、ぜひ参考にしてください。

メリット

日本の企業がUS-GAAP(米国会計基準)を採用するメリットとして、アメリカ市場に上場しやすくなることが挙げられます。特に、次のような日本企業であれば採用が向いているでしょう。

  • アメリカの証券市場で上場したいと考えている
  • アメリカの企業との合併や買収を予定している
  • 主な投資家がアメリカにいる

US-GAAP(米国会計基準)は、細部にわたる規則やルールに基づき高い透明性がある財務諸表を作成可能なため、アメリカをはじめとした世界各国の投資家から厚い信頼を得られるでしょう。

デメリット

日本企業がUS-GAAP(米国会計基準)を採用する場合、導入時や運用中にコストがかかる点はデメリットといえます。

また、日本の法体系や商取引上の慣習とは異なる基準で作成されているため、運用には高度な専門知識や豊富な実務経験が不可欠であることに注意が必要です。

US-GAAP(米国会計基準)は世界的な会計基準と認識されているものの、国際的に広く普及しているわけではありません。コストや専門知識の習得時間などを考慮すると、アメリカに限らず世界進出を検討している企業では、採用するメリットが少ないといえるでしょう。

US-GAAP(米国会計基準)とIFRS(国際会計基準)のどちらを選ぶべき?

世界への事業展開を目指す企業にとって、US-GAAP(米国会計基準)とIFRS(国際会計基準)のどちらを選ぶべきか、悩ましい問題かもしれません。

基本的には、次の観点から検討するとよいでしょう。

  • US-GAAP(米国会計基準):アメリカをメインに事業展開する場合
  • IFRS(国際会計基準):アメリカだけでなく世界各国で事業展開する場合

EU域内ではすべての上場企業に対し、IFRS(国際会計基準)の導入を義務付けています。ほかにも、140以上の国・地域が自国の上場企業や金融機関に対し導入を強く求めており、日本でも、金融庁などがIFRS(国際会計基準)の任意適用を促進している状況です。

グローバルな事業展開を視野に入れているのであれば、IFRS(国際会計基準)のほうが適しているといえるでしょう。

まずは無料の説明会にご参加ください。

US-GAAP(米国会計基準)の特徴を理解しよう

US-GAAP(米国会計基準)は、アメリカでの財務会計に使用される会計基準です。細則主義や資産・負債アプローチといった特徴を持ち、特にアメリカでの事業展開を検討している日本企業であれば採用が向いている会計基準といえるでしょう。

しかし、アメリカ以外の国や地域への事業展開を検討している企業は、より多くの国や地域で適用されているIFRS(国際会計基準)のほうが適している可能性があります。

自社の経営方針や目指すところなどを明確にし、最適な会計基準を選びましょう。

IFRS検定試験の合格を目指すならアビタス

IFRS検定試験の合格を目指すならアビタスを検討してみましょう。

アビタスのIFRS Certificateプログラムは2008年の開講以来、多くの合格者を輩出し続けています。最新の試験傾向を踏まえた重要項目を分かりやすく解説したオリジナル教材を提供しており、日本会計基準との差異も理解できるため実務にも役立ちます。

効率よく学習できるよう、充実した学習ツールを準備しており、最短3カ月での合格が可能です。

アビタスではオンラインによる無料説明会を実施しています。興味のある方はお気軽にご参加ください。

まずは無料の説明会にご参加ください。

合わせてお読みください

最近のエントリー

カテゴリから探す