芸術学修士（MFA）と経営学修士（MBA）は、それぞれ異なる分野で高度な専門性が身につく学位のことを示します。

従来のビジネス界では、MBAを取得し、経営戦略の知識や論理的思考力を身に付けたビジネスパーソンが高く評価される傾向がありました。

しかし近年、新しいビジネスを模索する手法として、アート思考をビジネスに取り入れる動きが世界的な広がりを見せています。

AI技術をはじめとするテクノロジーの進化によって、人の手を介さずに完結する仕事の領域が広がりを見せています。一方で、今後、AIでは成し得ないクリエイティブな発想でビジネスを創造していける人材の価値は、ますます高まっていくでしょう。

本記事では、MFAとMBAの違いや両者がもたらす相乗効果などを解説します。

目次
MFAとは
MBAとは
MFAとMBAで得られるスキルの違い
MFAとMBAのキャリアの違い
MFAとMBAがもたらす相乗効果
MFAとMBAのそれぞれの違いを学ぼう

MFAは「Master of Fine Arts」の略語で、日本語では「芸術修士」と呼ばれています。

近年、ビジネスの世界ではロジカルに物事を捉える能力だけでなく、感覚的・直感的な思考から新たな価値を生み出すことが重視される傾向にあり、アートやデザインに関する知識とスキルを習得できるMFAに注目が集まっています。

MFAのプログラムの特徴は、芸術的な創造力を伸ばすことを目的に、様々なアプローチで新しい表現方法を生み出すためのトレーニングが行われることです。

MFA取得者には、既成概念に捉われない革新的な発想によって社会に新たな価値を提供することが期待されます。

MBAは「Master of Business Administration」の略語で、日本語では「経営学修士」と呼ばれています。

経営戦略やマーケティング、組織論、アカウンティング、人的資源管理、ファイナンスなど、経営に必要な幅広い知識を習得することが特徴で、長い間ビジネスの世界ではMBAの取得がステータスとされてきました。

MBA取得後のキャリアパスは人によって様々ですが、企業の経営に携わったり外資系企業へ転職したりと、多くの人が自ら希望するキャリアへのステップアップを実現しています。

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MFAのプログラムは、アートやデザインに関する専門知識と創造力を養うことを目的として構成されています。一方でMBAは、ビジネスの分野で必要なリーダーシップや経営のスキルを幅広く学ぶことが特徴です。

両者は全く異なるジャンルのように見えますが、相乗効果が見込まれるため同列で比較されることが多くあります。

また、MBAはビジネスの世界で、すでに一定のステータスを築き共通言語化しているからこそ、MBAだけでは生み出すことのできない新たな価値の創造が求められています。

MFAとMBAで得られるスキルの違いについて詳しく解説します。

MFAの取得を通じて得られる代表的なスキルには、以下のようなものがあります。

• 自己表現力
• 創造力・発想力
• グローバルな視座

MFAのプログラムでは、自分自身の感性やアイデアを形にして表現する機会が多くあります。自己を表現する手段は、言葉や行動だけではありません。アートを通じて自分を表現し、他者や社会へ影響を与える手法を学ぶことができます。

また、アートとビジネスは相反するようにも思えますが、芸術的観点からのアプローチはビジネス上の問題や課題を解決する糸口となる場合があります。MFAのプログラムを通じて創造や革新を促進する能力が向上し、新たな発想でアイデアを生み出すことが可能です。

MBAの取得を通じて得られる代表的なスキルには、以下のようなものがあります。

• 経営に関する知識全般
• リーダーシップ・マネジメント力
• 問題解決力

論理的思考に寄ったMBAのプログラムでは、経営戦略や財務、会計、マーケティング、経済学など、経営者として必要な知識全般を習得できます。

講義は座学中心の受け身の姿勢ではなく、ケーススタディ（事例研究）やグループディスカッションなどの手法が多いため、より実践的で役立つスキルが習得可能です。

一方で、経営に関する知識を備えているだけではリーダーとして充分とはいえません。MBAの取得を通じて、目標達成のために組織に対して積極的に働きかけるリーダーシップや、成果を上げるために様々な要素を管理するマネジメント力も養うことが可能です。

さらに、経営上の問題や課題に直面した際に問題の本質を見極め、解決までの具体的なアクションプランを計画し、実行していける問題解決力も身に付けられます。

将来のキャリア形成を目的としてMFAやMBAの取得を検討する人も多くいるでしょう。どちらもその後のキャリアの可能性を広げることができます。

MFA、MBAを取得した人の活躍のフィールドは幅広く、様々な分野や職種で能力を発揮しています。それぞれの代表的なキャリアパスをご紹介します。

MFA取得者の代表的なキャリアパスとしては、以下の2つの職種が挙げられます。

• アートマネージャー
• プロダクトデザイナー

アートマネージャーとは、アートに関する活動を行う際に生じるタスクやプロセスを実行・管理する役割を担う職種です。具体的には、美術館やギャラリーの管理・運営、展示会などのアートイベントの企画・運営、マーケティング、PRなどで、幅広い業務をこなします。

プロダクトデザイナーは、家具や家電など様々なものをデザインする仕事です。

プロダクトデザインの本質は、単にデザインが優れていればよいのではなく、機能性も兼ね備えた製品をつくらなければならない点にあります。そのため、製品や素材に関する知識も求められます。

MBA取得後のキャリアパスは、これまでの経験やキャリアプランによって様々です。

転職を前提としない場合は社内で昇進し、経営層として組織の発展に貢献するケースが多くあります。一方で、キャリアチェンジの例として多いのは以下の2つです。

• 戦略コンサルタント
• 起業

戦略コンサルタントとは、企業の経営層に対して、企業が抱える問題点や問題解決のための手段、今後の成長戦略を外部から分析して提案する仕事です。経営全般に関する知識はもちろんのこと、財務会計や人事など幅広い知識と経験が求められます。

また、MBAの取得によって身に付けた経営知識や人脈を活かして起業する人も多くいます。リーダーシップや問題解決力などが、起業の際の大きなアドバンテージとなるでしょう。

MBA取得者がMFAもあわせて取得することで、新しいアイデアをビジネスとして形にする力がより一層高まります。

これまで人間が行ってきた仕事をAIが代わりに担うような時代となってきた現代において、物事を単に論理的に捉えるだけの能力では立ち行かなくなってきています。

代わりに、直感的に物事を捉える感性や創造的な問題解決力など、人間にしかできない価値の創造が求められるようになっており、MFA取得者の評価が高まっています。

一方で、MFAの取得によって身に付けたアート思考をビジネスに転化するためには、論理的思考をはじめとするMBAで得られる知識や能力が不可欠です。

両方を取得することでビジネスとアート思考が融合され、新しい価値を生み出すことが可能です。

MFA、MBAで習得できるスキルやキャリアの違い、相乗効果について解説しました。

時代の変化とともにビジネスパーソンに求められるスキルや能力にも変化が見られ、今後はよりクリエイティブな要素が重視されるようになるでしょう。

一方で、ビジネスを成功に導くためにはクリエイティブな要素だけでは不十分であり、従来重視されてきた経営全般に関する知識やリーダーシップ、マネジメント力、論理的思考が不要になるわけではありません。

今後のビジネス界では、優れたビジネス感覚と創造性を持ち合わせた人材が高い評価を得ることが予想されます。

どちらか一方に偏るのではなく、両方の能力を総合的に伸ばしていく取り組みが求められています。

ビジネスパーソンとしての基本的な能力を磨くために、まずはMBAの取得を検討する人も多いでしょう。

しかしながら、MBAの取得には膨大な時間と労力がかかるため、なかなか具体的な行動に移せなかったり、取得自体を断念したりする人も多くいます。

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