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  • 2024/11/11公開
  • 2026/10/13更新

会計基準とは?種類の違いと自社の基準の調べ方を解説

会計基準とは?種類の違いと自社の基準の調べ方を解説

会計基準とは、企業が貸借対照表や損益計算書などの財務諸表を作成するための共通ルールです。売上をいつ計上するか、資産をいくらで評価するかといった決まりがあることで、他社や過去の数値を比べやすくなります。

日本では日本基準が広く使われ、要件を満たす会社にはIFRSなどを適用する道もあります。適用基準の名称は、有価証券報告書などにある財務諸表の注記から調べられます。

会計基準とは

会計基準が定めるのは、取引をいつ計上するか、いくらで評価するか、財務諸表のどこに記載し、何を説明するかです。それぞれ「認識」「測定」「表示」「開示」と呼びます。

企業の取引を会計基準という共通ルールに沿って財務諸表へ記録し、他社や過去の数値を比べやすくする

例えば、業務用の機械を購入した場合、資産として計上する判断が「認識」、購入代金や付随費用をもとに取得原価を求めることが「測定」です。貸借対照表の有形固定資産の区分に記載し、減価償却の方法や耐用年数を注記で説明することは、「表示」と「開示」に当たります。

共通の基準は、企業の数値を比べるための前提になります。数値の意味を読み取る際は、注記にある会計方針や見積り、事業内容も手掛かりになります。

会社法第431条は、株式会社の会計は一般に公正妥当と認められる企業会計の慣行に従うと定めています。財務諸表の作成には、会計基準と関係する法令の両方が関わります。

e-Gov法令検索「会社法」

日本で使われる会計基準の種類と違い

日本の上場会社の連結財務諸表に認められている会計基準は、日本基準、指定国際会計基準(IFRS)、米国会計基準、修正国際基準(JMIS)の4つです。各基準には適用の要件があり、制度上の選択肢と実際の利用状況は分けて捉えます。

金融庁「企業会計審議会第10回会計部会 参考資料」8〜9ページ

日本の上場会社の連結財務諸表に認められている4つの会計基準
基準主な位置付け確認先
日本基準
J-GAAP
国内で広く使われる基準。企業会計原則や個別の会計基準などで構成される企業会計基準委員会(ASBJ)
指定国際会計基準
IFRS
IASBが公表したIFRSのうち金融庁が指定した基準。一定の要件の下で任意適用できる金融庁、JPX、IFRS Foundation
米国会計基準
US-GAAP
米国の会計基準。日本での適用は米国SEC登録企業などの条件を確認する米国財務会計基準審議会(FASB)、米国証券取引委員会(SEC)
修正国際基準
JMIS
制度上認められた枠組み。IFRSののれんとその他の包括利益の処理に、日本の考え方を反映する修正を加えたものASBJ

非上場の中小企業向けには、「中小企業の会計に関する指針」や「中小企業の会計に関する基本要領」も公表されています。

ASBJ「中小企業の会計に関する指針」の公表案内 / ASBJ「中小企業の会計に関する基本要領」の策定案内

日本基準(J-GAAP)

日本基準は、企業会計原則やASBJが公表する個別の会計基準などを含む基準体系です。国内企業で広く使われており、現在の基準と改訂状況はASBJの公表物で確認できます。

個別の基準に加え、適用指針や設例が具体的な会計処理を示しています。実務では、取引の内容に合う基準と適用指針を組み合わせて判断します。

ASBJ「企業会計基準」

指定国際会計基準(IFRS)

IFRSの正式名称は「国際財務報告基準」です。「国際会計基準」という呼び方も使われ、日本の指定国際会計基準は、IASBが公表したIFRSのうち金融庁長官が国内での適用を指定した基準を指します。

IFRSの特徴は「原則主義」です。会計処理を判断するよりどころとなる原則を中心に定め、企業は取引の実態に即して適用します。具体的な適用条件や開示要件が定められた項目もあり、原則と個別の定めをあわせて読むことが基本です。

米国会計基準(US-GAAP)

米国会計基準は、米国財務会計基準審議会(FASB)が作成する会計基準です。日本では、米国SEC登録企業など、制度上の要件を満たす企業が適用しています。

米国市場では、外国民間発行体がIASBのIFRSに準拠する財務諸表を提出することもSECに認められています。米国上場企業の財務諸表を読む場合も、実際の採用基準は注記で把握できます。

SEC「Information about Foreign Issuers」

修正国際基準(JMIS)

JMISは、IFRSを基礎に、ASBJによる修正会計基準を加えた枠組みです。のれんの定期償却と、その他の包括利益を当期純利益へ振り替える処理(リサイクリング)に関する修正を含みます。

金融庁の公表資料では、2023年3月末時点のJMIS適用企業は0社です。この表では、JMISを制度上の選択肢として掲載しています。

金融庁「企業会計審議会第10回会計部会 参考資料」9ページ(2023年6月公表)

ASBJ「修正国際基準(JMIS)」

会計基準が複数ある理由はなぜ?

会計基準は、各国の法制度や経済活動、財務諸表を使う人が求める情報を背景に作られてきました。配当や税務との関係、資金調達の方法が国によって異なるため、基準にも違いがあります。

国ごとの制度と財務諸表を使う人の目的の違いが、会計基準の違いにつながる

例えば、投資家は将来の収益や資金の流れを判断する情報を、金融機関や取引先は返済能力などを確認する情報を求めます。利用目的に応じ、どの数値や説明を財務諸表に示すかが検討の対象です。

日本で4つの基準が認められているのは、国内の会計制度を維持しながら、海外の投資家への説明や企業の国際的な活動にも対応してきたためです。日本基準を使う企業がある一方で、海外企業と比較しやすい財務情報を示すため、要件を満たす企業にIFRSの任意適用が認められました。

米国基準には、米国市場で資金を調達する日本企業が使ってきた経緯があります。JMISは、のれんの償却など、日本が重視する会計上の考え方を国際的に示すために設けられた枠組みです。金融庁は、4基準の並存を、将来の基準の収斂に向けた過程の一つとして位置付けています。

金融庁「企業会計審議会第10回会計部会 参考資料」2ページ・8〜9ページ

自社が使う会計基準の調べ方

会社が使う会計基準は、その会社が公表する財務諸表の注記に記載されています。有価証券報告書を使う場合は、次の4手順で調べられます。

適用基準の確認手順。会社・年度・連結か個別かを決め、EDINETで有価証券報告書を開き、注記で基準名と基準書の適用時期を確認する

① 会社と年度と財務諸表の区分を決める

最初に、対象会社と会計年度、連結財務諸表か個別財務諸表かを決めます。連結は企業グループ全体、個別は会社単体を対象にした財務諸表です。同じ会社でも連結と個別で適用基準が異なる場合があるため、どちらの数値を調べるのか区別します。

② EDINETで有価証券報告書を検索する

EDINETは、金融庁が提供する開示書類の閲覧システムです。対象会社の名称やEDINETコードで検索し、調べたい年度の「有価証券報告書」を開きます。

検索結果に表示された提出日と、報告書が対象とする会計年度は別の情報です。目的の年度の書類かを表紙で確認してから、財務諸表の注記へ進みます。

金融庁「EDINET」

③ 財務諸表の注記で基準名を確認する

「経理の状況」から対象の財務諸表を開き、「作成の基礎」「重要な会計方針」などの注記を探します。見出しは会社や採用基準によって異なりますが、準拠する基準名が書かれている箇所です。

「連結財務諸表規則」は、連結財務諸表の作成や開示に関する規則の名称です。その記載だけで日本基準と決めつけず、「指定国際会計基準に準拠」など、会計基準を示す記述を探してください。

④ 基準の改訂状況と適用時期を確認する

基準名が分かったら、調べたい会計処理を基準設定主体の公表資料で調べます。日本基準はASBJ、IFRSはIFRS Foundationの基準書や公表資料が参照先です。

基準には適用を始める時期や経過措置があります。調べたい年度に適用される版を選び、会社の注記に会計方針の変更がある場合は、その内容も読みます。

有価証券報告書を提出していない会社では、決算書の注記や社内の経理規程を調べる方法があります。記載が見つからない場合は、経理担当者や顧問税理士、公認会計士に尋ねてください。

日本におけるIFRSの適用状況

日本では、2010年3月31日以後に終了する連結会計年度から、一定の企業がIFRSを任意適用できるようになりました。適用要件を満たす会社が、自社の経営や財務報告の目的に応じて採用を選ぶ制度です。

金融庁「IFRSの任意適用及び初度適用について」

JPXの2026年9月末現在の集計では、IFRS適用済会社は303社、適用決定会社は14社です。合計は317社で、適用決定会社にはIFRSを適用する旨をプレスリリースで公表した会社が含まれます。

適用済の303社と、適用開始を決定した14社は別の区分です。最新の企業数は、JPXが更新する一覧で調べられます。

JPX「IFRS適用済・適用決定会社一覧」

会計基準を実務で使うための学び方

基準名を知ることと、取引の会計処理を判断することは別です。実務で使うには、会計方針と計算の条件を読み、財務諸表や注記にどう反映されるかを確かめます。

教材の設例で基準と会計方針の違いをつかむ

アビタスが公開しているIAS第16号「有形固定資産」の教材見本には、再評価の設例が載っています。取得原価200、減価償却累計額100、公正価値150という数値を使い、日本基準とIFRSで機械の帳簿価額がどう変わるかを比べます。

CUは通貨単位(Currency Unit)を表す記号です。減損や過去の再評価による評価減がない機械を例に、取得原価200 CUから減価償却累計額100 CUを差し引いた100 CUを出発点にします。税効果は省略します。

同じ機械でも基準と会計方針で変わる帳簿価額
基準と会計方針この例での帳簿価額金額の決まり方
日本基準100 CU
200 CU − 100 CU
取得原価から減価償却累計額を差し引く
IFRS
原価モデル
100 CU
200 CU − 100 CU
取得原価を基礎に計算する。この例の条件では日本基準と同額
IFRS
再評価モデル
再評価時点で150 CU信頼性をもって測定できる公正価値へ再評価する。同じ資産クラス全体に一貫して適用

日本基準では、この機械の帳簿価額は取得原価から減価償却累計額を差し引いた100 CUです。IFRSで再評価モデルを採用した場合は、再評価時点の公正価値150 CUになります。IFRSでも原価モデルを採用した場合、この例では100 CUです。

再評価で増えた50 CUは、原則としてその他の包括利益に計上し、資本の再評価剰余金に累積します。この例では、50 CUの全額が対象です。過去に同じ資産の再評価による評価減を損益に計上していた場合は、その評価減を戻す範囲の金額を損益に計上します。

同じ機械でも、基準と採用する会計方針によって帳簿価額が変わります。有価証券報告書の注記で適用基準を調べるのは、この違いを理解するためです。基準名に加え、数値がどのように計算されたかまで読むと、企業同士の比較もしやすくなります。

アビタス「オリジナルテキスト」教材見本4-14〜4-15 / IFRS Foundation「IAS 16」第30〜31項・第36項・第39項 / ASBJ「実務対応報告第18号」固定資産の再評価・設例4-2

日本語の説明と英語原文を照らし合わせる

アビタスの教材は日本語を中心に説明し、重要項目には英文も併記しています。設例に加え、差異がある項目の最終ページに日本基準との比較解説がある教材です。

日本語で意味を理解した後、英文の基準で条件を読み直し、設例の数値と照らし合わせます。日本基準での知識を使う場合も、同じ取引に異なる定めがないかを確かめる学び方です。

IFRS Certificate試験対策講座で体系的に学ぶ

IFRS Certificateは、IFRSの知識を測る英語の検定試験です。アビタスの試験対策講座では、フレームワークと基準書を体系的に学び、日本語の解説と英文、設例をつなげて理解を深めます。

講義は1ユニット平均約17分で、仕事の合間にも区切って視聴できます。標準学習期間は3か月、学習時間は150時間が目安で、受講期間は2年間です。講座資料では試験概要やカリキュラム、教材の内容をまとめて読めます。

会計基準に関するよくある質問

日本の会社はどの会計基準を使いますか?

国内で広く使われているのは日本基準です。上場会社の連結財務諸表では、要件を満たす企業がIFRSなどを採用する場合もあります。自社が使う基準名は、財務諸表の注記で調べられます。

IFRSと日本基準は何が違うのですか?

のれんの償却、有形固定資産の再評価など、個別の会計処理に違いがあります。例えば、このページの機械の設例では、日本基準は100 CU、IFRSの再評価モデルは150 CUです。詳しい処理の違いは、関連記事の比較表と具体例で読めます。

会計基準と税法は同じものですか?

目的が異なるルールです。会計基準は財政状態や経営成績を報告するためのルールで、税法は課税所得などの計算を定めます。会計上の利益と税務上の所得が異なる場合には、税務申告で調整が必要です。

まとめ

会計基準は、取引の認識、測定、表示、開示を定める共通ルールです。日本基準やIFRSなどの特徴を知ると、財務諸表の数値がどのように作られたかを読み取りやすくなります。

自社や取引先の基準は、有価証券報告書の注記など、会社が作成した資料から調べられます。IFRSを体系的に学びたい方は、アビタスのIFRS Certificate試験対策講座の資料で、試験概要と教材、学習内容をご覧ください。

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